智将は敵に食(は)む 孫子を学ぶ

投稿者: | 2020年12月25日

善く兵を用うる者は

善用兵者、役不再籍、糧不三載。取用於国、因糧於敵。故軍食可足也。国之貧於師者遠輸。遠輸則百姓貧。近於師者貴売。貴売則百姓財竭。財竭則急於丘役。力屈財殫、中原内虚於家。百姓之費、十去其七。公家之費、破車罷馬、甲冑矢弩、戟楯蔽櫓、丘牛大車、十去其六。故智将務食於敵。食敵一鍾、当吾二十鍾、秆一石、当吾二十石。

善く兵を用うる者は、役(えき)は再籍(さいせき)せず、糧(りょう)は三載(さんさい)せず。用(よう)を国に取り、糧を敵に因(よ)る。故に軍食足(た)る可なり。国の師(し)に貧(ひん)なるは、遠く輸(おく)ればなり。遠く輸れば、百姓(ひゃくせい)貧(まず)し。師に近き者は貴売(きばい)す。貴売すれば、則(すなわ)ち百姓は財(ざい)竭(つ)く。財竭くれば、則ち丘役(きゅうえき)に急なり。力(ちから)屈し財(ざい)中原に殫き、内家(うちいえ)に虚(むな)し。百姓の費(つい)え、十に其の七を去(さ)る。公家(こうか)の費え、破車罷馬(はしゃひば)、甲冑矢弩(かっちゅうしど)、戟楯蔽櫓(げきじゅんへいろ)、丘牛大車(きゅうぎゅうたいしゃ)、十に其の六を去る。故に智将は務めて敵に食(は)む。敵の一鍾(いっしょう)を食むは、吾が二十鍾に当あたり、き秆一石(きかんいっせき)は、吾が二十石(にじっせき)に当たる。

戦準備が上手い将軍とは

ざっくり訳すと

戦準備が上手な将軍は、何度も徴収や食料や飼料を輸送をしない。なぜならば、一度準備をしたあとは、敵から食料や飼料を得るため、食料や飼料に困ることはないからである。

国力が弱くなるのは、食料や飼料を遠くに送るからである。食料や飼料を遠くに送ると百姓の負担が大きくなり、物価の高騰がおき、結果として百姓はお金が無くなってしまう。百姓は七割の税金を取られ、税が重くのしかかり、百姓は貧困する。国の財政の六割が戦争に必要な戦車や装備品などの軍事費で失われてしまう。

よって優れた武将は敵から食料や飼料を調達する。敵から得た食料や飼料は、自国で得た食料や飼料の20倍の価値がある。

と言った感じかなと。

破車罷馬は破損した戦車、甲冑矢弩は鎧や弓、戟楯蔽櫓は武器や盾の損耗、丘牛大車は輸送車両など。

敵から調達するとは

実際問題、敵から食料などを調達するというのは、どういうことでしょうか?

基本的には、相手が貯蔵していた食料などを得る、または相手が輸送している食料などを奪うということかなと思います。このような描写は、軍記物ではよくありますし、実際に記録としても残されているので、これが敵に食(は)むということでしょう。

ただ、当時のことを考えると、ある程度略奪というのもあったように思います。孫子自身が略奪を是とはしていないと思いますが。

遠方での戦いは不利

ある意味、兵站の話でもありますが、遠方での戦いというのは食料や武器などの物資を輸送するのが大変なので不利と言えます。

現代においても、ベトナム戦争やイラン・イラク戦争などでアメリカの財政が逼迫していたことは記憶に新しいですね。

特に、現代では軍隊が略奪するなどもってのほかなので、食料や武器などの物資輸送が重要視されていますが、そもそも国から遠く離れたところで戦うこと自体、国民に多くの負担がかかるので良くないというのがわかります。

同盟国に食む

アメリカは同盟国に支援を求めていましたね。日本も協力しています。敵に食むではないですが、同盟国に食むというのも、ある意味戦略と言えそうです。

昔の場合、一時的に同盟を結ぶということが良くありました。最終的には戦う相手ではありますが、同盟を結び一緒に戦うことで、同盟国に食み、同盟国の国力を下げるという効果もあったと思います。

実際には同盟国側も手を抜いて戦うなど、国力を損なわないようにしていたので、そのあたりは騙し合いとも言えますね。そう考えると兵は詭道なりに通じるとこもあるかもしれません。

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※本内容は個人的に調べてまとめたものです。一般的な内容とは若干異なる点があることをご了承ください。