三国志～司馬懿軍師連盟～ドラマレビュー

評価

☆5/5

全86話の超大作。いやあ全話見るのはかなーり大変でしたが、結論としては観てよかったです。

宮廷内の権力争い系が好きなら間違いなく楽しめます。戦とかが好きな人は退屈な時間が多いですが、諸葛亮 VS 司馬懿の戦いはかなりグッと来るので、そこだけでも観てほしいところ。

司馬懿が主人公の話ではありますが、諸葛亮はめっちゃ強く描かれていますし、諸葛亮と司馬懿の関係についても新たな解釈が加えられていて個人的にはかなり楽しめました。ネタバレ的な話は後述。

前半は楊修 VS 司馬懿、曹操 VS 司馬懿を中心に宮廷のゴタゴタを含め描かれており、戦のシーンはほとんどありません。

後半は宗家（曹一族、夏侯一族） VS 司馬懿、諸葛亮 VS 司馬懿というのがメインの構図です。

個人的には後半戦はかなり楽しむことができました。その理由としては、

ですね。

その後の歴史を知っているからこそ、司馬昭や司馬倫のエピソードが面白くなるので、Wikipediaなどでざっくり読んでから観たほうが、ニヤリとできるシーンが多いと思います。

個人的に前半戦は甄氏が鬼綺麗ってのがメインでした。話がつまらないわけではないのですが、基本権力闘争の話なのでどうしても同じようなことの繰り返しになりがち。登場人物や構図が変わるだけという感じですね。個人的にはもう少し戦の話を追加しても良かったのでは？と思います。

それもすべては諸葛亮 VS 司馬懿のための布石と考えれば、観ておいて損は無いです。その前段があったからこその諸葛亮 VS 司馬懿でもあるので。

ということで、諸葛亮 VS 司馬懿が最高すぎたという点で評価は☆5にしました。

三国志～司馬懿軍師連盟～で描かれた諸葛亮 VS 司馬懿で個人的に感動した点は、

です。

どちらも上手い描き方で新解釈でもあるなと思いました。

司馬懿は権力を得つつも曹一族からは疎んじられており、暗殺が不安材料としてありました。しかし、諸葛亮を防ぐには司馬懿の力が必要で曹一族も司馬懿を殺すことができない状態。

司馬懿は諸葛亮を追い詰める機会がありつつも、あえて退却し、諸葛亮を生かすことで自身の立場を守ろうとしました。

それが有名な空城の計で描かれています。

単純に司馬懿が一人で考えたわけではなく、諸葛亮との空想による対話によって退却を選択するのですが、諸葛亮もそれがわかっていた上で空城の計を行ったと考えられます。

諸葛亮自身も司馬懿と直接会ったわけではないですが、相手の状況を知った上での空城の計ということです。賭けの部分もあったでしょう。司馬懿が諸葛亮の見立て通りの人物でなかったならば空城の計は失敗していたわけですから。

また、司馬懿がいることで諸葛亮も軍権を保てたというのもあると思います。つまり、現在の地位を保つためにお互いが必要だったというわけです。その描き方がうまいなと個人的には思いました。

守りに徹する司馬懿に対して、諸葛亮は女性用の衣を贈り挑発するというエピソードがあります。司馬懿はその挑発にのらないわけですが、単純にのらないのではなく、女性用の衣着て出師の表を諳んじることで諸葛亮にやり返すというのはとても斬新で良かったです。

このやり取りで諸葛亮は卒倒するのですが、その後に諸葛亮は姜維に後事を託すために兵法書24篇を渡すシーンでは思わず涙が出てしまいました。

司馬懿は女性用の衣を着ることで何をされても守りに徹するという鉄の意思表示を示したわけです。さらに出師の表を諳んじることで、女性用の衣ぐらいでは意味が無いことを暗に示し、諸葛亮の北伐は失敗することを表しています。諸葛亮としては苦肉の策だったわけで、どうやっても司馬懿は戦をしないことを悟ります。

つまり、この段階で勝負ありというわけです。実際に諸葛亮は負けたわけではないですが、勝てなければ意味が無いわけで、ある意味負けとも言えます。

個人的には本作で様々な思いが去来する最大の名シーンかなと思います。

個人的にすごく印象に残っているのは、諸葛亮の策略で窮地に陥りながらも一命を取り留めた時の司馬懿の表情と演技です。

諸葛亮は司馬懿の息子司馬昭にターゲットを変え罠にかけます。それを助けに司馬懿も向かうのですが、火計によって一網打尽にされてしまいます。司馬懿は矢を心臓に放たれ、もはやこれまでという状態。しかし、胸に仕込んでいた亀に救われ、さらに雨が降ったことで一命を取り留めました。

この時の司馬懿が本当に最高です。そして諸葛亮の表情もかなりグッと来ます。このシーンも本作の名シーンの1つかなと思います。

と、いろいろと書いたのですが、諸葛亮 VS 司馬懿は本当に面白かったです。そこだけ一気に観てしまいましたので。三国志好きならおすすめのドラマ。