贖罪の奏鳴曲 御子柴礼司 – 鉄壁のアリバイに守られた弁護士の罪と殺人事件の真相とは?

投稿者: | 2023年6月14日

評価・レビュー

☆5/5

激しい雨の晩に誰にも見られず死体を川に捨てた弁護士 御子柴礼司であったが、後ろ暗い過去があり、優秀な刑事によってすぐに御子柴礼司へ容疑がかかってしまう。しかし、御子柴礼司には鉄壁のアリバイがあった。そんな警察の動きに対して、御子柴礼司は逆転が非常に難しい、殺人事件の裁判を抱えており、逆転を狙い奔走する。果たして事件の真相は?

みたいな法廷ミステリもの。

いやあ、非常に面白くて一気に読んでしまいました。オチはある程度予測できるとは思いますが、それでも最後の畳み掛けは良かったですし、ミステリ好きなら楽しめるかなと。

裁判の資料で前提条件を説明するのが面白い

個人的に非常に面白いなと思ったのは、事件の条件について、裁判の資料を載せている点。この手の前提条件って、探偵とかが説明したりすることが多いのですよね。それを本作では、裁判での証言の資料を使うことで、厳密性を上げていると感じました。

当然ですが、そこには何かしら違和感があって、主人公の御子柴礼司はそこを突破口に裁判に挑むわけで、読者にも同じ条件が与えられているので、推理がしやすいと思います。


ちょいネタバレあり感想

個人的に本作はミステリ風味だなあと思いつつも、そこまで推理しながら読む感じではありませんでした。

というのも、冒頭から主人公の御子柴礼司が、実際に死体を遺棄していますし、過去の罪についても少しですが描かれているので、どちらかというとノワール系なのかなと思ったからです。

読み進めていくと、実際にそっちの方向性が結構あって、結果として「どういう展開になるのか?」と気になってグイグイとのめり込んでいきました。これはうまいやり方だなあと。

実際に御子柴礼司がどのような人物なのかは、最後まで読まないとわからないようになっているので、ざっくりとしたあらすじで気になっていたらぜひ読んで欲しいなと。

あと、ドラマ化もされているようで、小説がアレならドラマを見るのも良い気がします。主演は三上博史さんで、小説のイメージとも近いと思いました。

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