ジョナサン ふたつの顔の男 映画レビュー 最も近くて会えない存在

投稿者: | 2021年8月15日

ジョナサン ふたつの顔の男とは

ジョナサン ふたつの顔の男は、昼と夜で人格が入れ替わるというお話。昼は真面目な性格のジョナサン、夜はアクティブで奔放な性格のジョン。それぞれ1日の終りにビデオで情報共有をしていたが、ジョンがルールを破ってエレナと付き合っていたことを隠していたことがバレて二人の中が険悪になっていく・・・。

2018年作品。

評価

☆4/5

評価はあまり高くないのですが、個人的には設定の面白さで☆4にしました。全体的に淡々と話が進んでいくので、エンタメ作品として見るとちょっと物足りなさがあります。どちらかというとテーマ性で見たほうが楽しめる作品。

テーマとしては解離性同一性障害になると思います。1人の人間に全く異なる性格の人間が存在入れ替わるという話は、以前は奇異な目で見られる特別な存在のように思われていましたが、現代では理解が進んでいて偏見も減ってきているのかなと感じます。23人のビリー・ミリガンなどの影響が大きく、なんとなくネガティブな印象を持っている方も多いかもしれません。

近年ではSNSやYoutubeなどで解離性同一性障害を公表し、実際に人格が入れ替わるところを公開している方もいます。個人的にそれらを知っていたこともあり、本作についての心構え的な部分が持てていたことで、本作を楽しめたのかもしれません。

主人公は昼のジョナサンで理性的で真面目な性格。これは安定を示しているのかなと思います。また本作では眠ることで人格が入れ替わり、耳に装着した機器によって人格交代を制御するという方法を取っています。この人格交代を安定させている点も昼のジョナサンが主人公であることへのダブルミーニングになっているように感じました。

前述したように結構淡々とした映画で、オチも派手な感じではないので好みは分かれる作品のように思います。個人的にスマホを使ってお互いに話すシーンや人を介して話をするシーンは興味深く見ることができました。スマホのシーンは水曜日が消えたという映画でも踏襲されていますね。

テーマを語ってしまうとネタバレになってしまうので書きませんが、人の存在とは何か的なテーマが描かれている作品かなと思います。もっとも近い関係なのに会うことができない存在というのは、愛おしさもあり、もどかしさもあり、様々な感情が渦巻く特別な存在と言えそうです。

万人におすすめな映画ではないですが、設定好きなら見ると面白さを感じてもらえる映画だと思います。


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