なぜEVILはロスインゴを裏切ったのか? 個人的見解

投稿者: | 2021年3月11日

EVIL選手の裏切りとは

2020年7月11日、NEW JAPAN CUPで初優勝したEVIL選手。金的という明確な反則技を使い、今までのEVIL選手とは違うことをわかりやすくアピールしていました。

優勝後、内藤哲也選手のグーパンチタッチにBULLET CLUBのウルフポーズで返し、内藤哲也選手に必殺技のEVILを食らわせます。これによりEVIL選手はロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(以下、LIJ)を裏切り、BULLET CLUBに加入することが明確になりました。

ある程度の助走期間はあったものの、EVIL選手がLIJを裏切るのはショッキングな出来事で、高橋ヒロム選手などはリング上で絶叫するなど、かなり大々的なパフォーマンスを行っています。

突然の裏切りに多くのファンが戸惑ったことでしょう。

では、なぜEVIL選手はロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンを裏切ることになったのでしょうか?

当時の状況などから、個人的見解についてまとめていきます。

EVILの裏切りは本人の意思か?

まず結論から書きます。

これは個人的見解ですが、EVILの裏切りは会社の意向が大きく関わっていると考えます。

それはなぜでしょうか?

当時の状況などを交えながら、その理由を述べていきます。

コロナウイルスによるヒールの少なさ

まず、当時の状況で一番影響が大きかったのはコロナウイルスでしょう。

新日本プロレスも興行がやっと再開できたものの、無観客試合をしている状況でした。この時もっとも影響があったのが外国人レスラーです。多くの外国人レスラーは日本に来ることができない状況でした。また海外に拠点を置いているKENTA選手も日本に来れないという物理的問題が発生していたのです。

外国人レスラーが来日できないことで大きな影響を受けたのがBULLET CLUBです。BULLET CLUBは外国人レスラーがメインであるため、事実上BULLET CLUBは壊滅状態でした。

当時の新日本プロレスのユニットは、

  • 本隊
  • CHAOS
  • LIJ
  • BULLET CLUB
  • 鈴木軍

という感じです。このうち明確なヒールユニットはBULLET CLUB、鈴木軍でした。CHAOSは元々ヒールユニットでしたが現在はヒール感は無いですし、LIJはそもそも内藤哲也選手が

「俺はCHAOSではない。もちろんBULLET CLUBでもない。ましてや本隊でもない。俺の居場所はロス・インゴベルナブレス」

と宣言していますし、爆発的に人気が出たことでさらにヒール感はありません。

ということで明確なヒールはBULLET CLUB、鈴木軍の2つであり、このうち1つのBULLET CLUBが壊滅状態になったのです。

ヒールがいないと何が悪いのか?

ヒールが居なくてもプロレスはできます。強いレスラー同士が戦っているのを見るのはそれだけで楽しいものです。

しかしヒールが居たほうが盛り上がるのが実情。なぜならば人は感情を揺さぶられるものに惹かれるからです。応援もしやすくなるというのもありますね。

また人はシンプルな構図の方が理解がしやすいため、面白いと感じる人が多いのです。なぜなら面白いという思考は人間の理解度と関係しているからです(面白いとは何か?楽しいとは何か?)。

では、ヒールが面白さを生み出している理由は何でしょうか?

それはヒールが多くのプロレスストーリーを生み出しているからです。ですのでヒールがいなくなるとストーリーを理解するという行為が減るため、面白さを感じなくなってしまうのです。

強いレスラー同士の対戦は楽しいと表現したのはそのような理由です。当然、強いレスラー同士の対戦でも、そこに至るストーリーがあれば面白くなります。しかし、ストーリーは時間をかけて作るものなので、すぐに作るのは難しいのです。

ストーリーの例としてわかりやすいのが因縁(遺恨でも良い)です。この因縁も、起こしてすぐ対戦してしまっては、あまり面白さがありません。紆余曲折してようやくシングルの対戦が組まれるからこそ面白いと感じるわけです。

そしてヒールはこの因縁を自ら起こすことができます。これが「ヒールがプロレスストーリーを生み出している」ということです。

ヒールがいないと因縁を起こしにくいんですよね。ヒールだと何でも適当な理由をつけて因縁を起こすことができます。気に食わないとか、偉そうにしているからとか、嫌いだったとか何でも良いわけです。

実際にヒールとして素晴らしい評価を得ている鈴木みのる選手は、まさにヒールとして役割をしっかりと演じています。

ストーリーが切れてしまった

プロレスの面白さにはストーリーが重要であることを述べました。コロナウイルスの影響でもっとも大きかったのは、外国人レスラーが来日できなくり外国人レスラーが関係していたストーリーがすべて切れてしまったことです。

先程述べたように因縁というのはわかりやすいストーリーの1つです。実際にBULLET CLUBもいろいろなところに噛み付いていますよね。しかし、コロナの影響で出れなかった外国人レスラーが1年後復帰して去年の続きをしよう!と言っても、多くの人が今さら感を感じるではないでしょうか。

ストーリーは続いているからこそ見ていて面白いし、楽しいのです。ストーリーが切れたら一旦リセットされるので、新たなストーリーが必要になります。

実際に外国人レスラーが戻ってきたときはG1でしたが、そこにストーリーはありません。しかし、G1はストーリーを作るための舞台の1つですよね。これは新日本プロレスの上手さだと思います。

いきなり普通の興行で外国人レスラーが参加してきても変な感じになってします。ですので、G1という舞台で仕切り直しというわけです。

もしEVILの裏切りが無かったら

さて、EVIL選手の話に戻しましょう。当時、ヒールが少ない状況でストーリーが切れている状況でした。

当初は無観客試合でレスラーはプロレスができることの喜びをコメントしていました。これ自体は喜ばしいことで、プロレスが観れることの幸せを自分も大いに感じました。

では、そのままストーリーも無くプロレスを続けていったらどうなったでしょうか?

あの当時の試合を繰り返されて、自分たちはプロレスに面白さを感じることができたでしょうか?

今日もみんな元気にプロレスしましたという報告のプロレスが面白いでしょうか?

たぶん、飽きてしまったでしょう。やはりプロレスにはストーリーが必要なのです。

実際にEVIL選手の裏切りによって2020年の前半は何とか話が持ちました。内藤哲也選手と何度も二冠戦をしましたが、それは他にストーリーが無かったためです。また、秋のG1で外国人レスラーが戻ってくる三段がある程度あったから、そこまで持たせれば良いという新日本プロレス(会社)の考えがあったかもしれません。

2020年大きなインパクトというと、

  • KENTA選手の内藤哲也選手襲撃
  • EVIL選手突然の裏切り

はかなり多くの人に印象を残したと思います。

最も簡単な因縁の作り方 裏切り

ストーリーというのは簡単には作れなず、時間がかかると前述しました。確かにそのとおりなのですが、実は簡単な因縁の起こし方があります。それが裏切りです。

なぜ、裏切りは因縁を起こしストーリーになるのでしょうか?

それはそのユニットに所属していた自体がストーリーになるからです。ユニットに居たこと自体が前フリとも言えます。

また裏切る可能性が無さそうな人が裏切るほど、裏切りのインパクトが大きいです。これはそのユニットにハマっている人であればあるほど、ストーリーに面白さがでます。

さて、当時のユニットで考えたとき、裏切りが無かったユニットがLIJです。もしLIJで裏切りが発生したらインパクトがあります。

そこで白羽の矢が立ったのがEVIL選手だと考えています。

ロスインゴを裏切る理由が無い EVIL

そもそもEVIL選手にはLIJを裏切る理由がありません。LIJでタイトルも取っていますし内藤哲也選手の方針としてもLIJ同士で対戦することも良しとしています。EVIL選手がNEW JAPAN CUPでEVIL選手が優勝し、二冠をかけて対戦することもまったく問題ないでしょう。

また、飛ぶ鳥を落とす勢いのLIJを脱退するというのはデメリットしかありません。EVIL選手にはメリットが無いわけです。

次にまとめて書きますが、EVIL選手の裏切りには違和感がたくさん存在しています。

多くの違和感

ざっと挙げると

  • 1月にNEVER無差別級6人タッグ王座のベルト獲得
  • パレハというロスインゴ用語を使っている
  • BULLET CLUBとほとんど交流が無い
  • 覇者で王者の三冠王だ!を繰り返す

があります。

まず、「1月にNEVER無差別級6人タッグ王座のベルト獲得」ですが、EVIL選手が裏切ったあとベルトがどうなるのか?という問題が発生しました。普通、この手のベルトの扱いについてはちゃんと整理してから裏切るものです。しかし、NEVER無差別級6人タッグ王座は当初何も発表されていませんでした。これは通常ではありえないことです。

「パレハというロスインゴ用語を使っている」のも気になります。ディック東郷選手がパレハとして登場しましたが、普通裏切ったら前のユニットの用語を使うでしょうか? BULLET CLUBのメンバーが以前から新しい相棒のことをパレハと呼んでいたらならば話は別ですが、そのようなことはありません。これは個人的推測ですが、EVIL選手が咄嗟に出てしまった言葉なのではないか?と思っています。

次に「BULLET CLUBとほとんど交流が無い」ですが、これは2021年3月現在でも状況は変わっていません。NEW JAPAN CUPでBULLET CLUBの介入がありましたが、基本的にはEVIL派閥とそれ以外という感じで現在まで進んでいます。これもバリバリ違和感がありますよね。派閥同士で争う内部闘争もありますが、そういう気配もありませんし、元々分かれているような感じなのでそこで内部闘争と言われてもピンと来ません。これはEVIL選手が裏切ることが急に決まったためだと考えています。

また「覇者で王者の三冠王だ!を繰り返す」のも違和感がありました。最近ではようやくコメントもいろいろと考えられてきましたが、当時は何をしゃべって良いのかわからなかった節があります。それをわかりやすくするために、「覇者で王者の三冠王だ!」を繰り返していたのではないかなと個人的には推測しています。このあたりはディック東郷選手の入れ知恵なのか、もしかすると外道選手あたりが助け舟を出したのかもしれません。

ただ、飯伏選手の二冠統一発言問題よりもEVIL選手の方が言っている意味がわからないという批判が少なかったのは事実です。「覇者で王者の三冠王だ!」を繰り返し発信したことで、同じことしか言えないのかという指摘はありましたが、少なくともファンには俺が一番強いんだよ!というメッセージは伝わっていたと言えます。

本来であれば裏切った後のことも考えた上で裏切るのですが今回は急だったため、わかりやすいメッセージ性が必要だったのです。

結論

ということで、長々と書きましたが、結論は最初に書いたように、EVIL選手の裏切りは会社の意向が大きく関わっていると考えています。

当時の状況を考えると何かしらストーリーが必要でした。話題性と言い換えても良いかもしれません。

コロナウイルスで外国人レスラーが来日できなくなり多くのストーリーが切れた状態で、できる限りわかりやすくストーリーを作り出すには、裏切りというのがとても簡単なギミックなのです。

様々な違和感は急な会社の意向でEVIL選手が裏切ることになったためと考えています。

二冠統一問題でも会社の意向があるのではないか?と棚橋弘至選手が話していました。そう考えると飯伏選手の意味不明な発言も理解ができます。そして、EVIL選手の裏切りにも会社の意向があったと考えると、いろいろとしっくりきますよね。

まあ、真実が語られることは無いと思いますが、個人的にはかなり会社の意向が強くあったのかなと思っています。

ただ、会社の意向が大きくあったとしても、最終的にはEVIL選手が決めたこと。嫌だったら辞めるという選択肢もあります。たぶん、いろいろと考えた上での決断だったのかなあと個人的には思います。

最後に個人的にEVIL選手はすごく好きな選手です。ダイナミックな技は見ていてまさにプロレスの技という感じですし、ガツガツと体でぶつかっていくスタイルもすごく好感が持てます。今後もEVIL選手には頑張って欲しいなと個人的に思っています。

追記

EVIL選手が裏切る理由に当時LIJで4番手と呼ばれ不満があったのでは?という話を見ました。確かに、本人の実力からすれば不本意な状態であることは間違いありません。

それが理由で裏切るのはわかるのですが、もしそうなら、なぜBULLET CLUB?という疑問が出てくるのです。前述しているように当時のBULLET CLUBとは協力するようなシーンはほとんどなく、ほぼEVIL選手とディック東郷選手で活動してますよね。むしろ、それで新ユニットを作った方が良かったのでは?と思います。

また、BULLET CLUBには外道選手がいて、裏切りストーリーには外道選手が関わってドラマティックに演出してくれます。けれどEVIL選手のときには前フリすらありませんでした。

個人的には不満はあったことは確かですが、裏切ったのはやはり会社の意向がある程度あったと思います。