映画 囚われた国家 – 異星人に占領された9年後のレジスタンス 渋めのSFが好きなら

投稿者: | 2022年11月21日

評価・レビュー

☆4/5

異星人に侵略され統治されたアメリカで異星人に対抗するためレジスタンスとして活動する人々の話。

異星人との戦いものではありますが、戦闘はほとんど無く異星人もちょっとしか出てこない渋いSFなのが特徴です。なので、ドンパチ系を期待すると期待はずれかも。

また、この手の異星人ものって基本的に異星人との攻防がメインの作品が多い気がします。本作はすでに異星人に占領され9年も経った後ということで意外と珍しい設定かなと。

個人的にはいろいろなことを感じる作品で、映画自体の面白さというよりも投げかけられているテーマが面白い作品かなと思います。まあフカヨミかもしれませんが。

少しテンポが悪いところもあり地味な感じはありますが、SF作品としては個人的に楽しめました。しっかり伏線も張ってありますし、ストーリーの流れは良かったです。渋めのSFが好きならおすすめ。

あらすじ

マッチをすり、戦争を起こせ。抵抗する限りチャンスはある―。 地球外生命体による侵略から9年後の2027年、シカゴ。制圧されたアメリカ政府は「統治者」の傀儡と化していた。貧富の差はかつてないほど拡大し、街は荒廃。そして市民は、この圧政に対して従属する者と反抗する者に分かれた。自由を取り戻すために秘かに結成されたレジスタンス・グループは、市内スタジアムで開催される統治者による団結集会への爆弾テロを計画するが―。© 2018 STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. All Rights Reserved.

アマプラ:囚われた国家

2019年アメリカのSF映画。原題はCaptive State。

ちょいネタバレありの感想

本作はアメリカの作品です。9.11がありテロに対して断固とした態度を表明したアメリカが、いざ自分たちが支配される側になった時に、レジスタンスとしてテロ活動をするというのはある意味皮肉なのか。

異星人は出てきますが、前述した通り、ほんとんどその姿や考えは描かれていません。地球には資源を取りに来て、結果として地球を侵略し統治下に治めた感じ。ここでいう資源というのは、現代社会における石油などのことかなと。

で、異星人によって統治されたアメリカでは傀儡政権がアメリカは再生した!と声高に叫び、よりよい社会になったことをアピールするわけですが、このあたりは中東やベトナムなどの話を想起させるように思えます。

つまり何が言いたかったというと、視点が変わると正義も変わるというか、結局自分たち(アメリカ)のしてきたことって正しかったの?的なニュアンスもあるんじゃないかなと思いました。そして、その行くつく先がラストでもあるのかなと。まあ、フカヨミかもしれませんが。

また別の角度から考えてみると、他の国を統治下に治めて1つとして成立している国の独立という観点もあるのかもしれないなと思いました。

それらの国は大きな国家の軍事力によって統治されており、そんな国の人たちへ、独立の火を絶やすな的な意味合いもあるのかもしれません。そう考えると、ちょっとメッセージ性が強すぎる映画でもあるかなと。まあ、これもフカヨミかもしれませんが。

他にもいろいろと暗喩されているような感じがして、いろいろと考えさせられる作品だと思いました。

ちなみに、異星人とかがあまり出てこなかったのは低予算が原因だったのかもしれません。そいういう意味でも自分のフカヨミだったかなという気もします。

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