評価・レビュー
☆5/5
アインシュタインの書簡へのフロイトからの返信と、喪とメランコリー、精神分析入門・続の2講義を収録。
やはりメインは、「人はなぜ戦争をするのか」についてのフロイトの分析や考え方、視点かなと思います。
話し合いで解決を望まない国もある
本書簡は1932年9月に書かれたもので、それから100年弱経過した今でも世界から戦争は無くなっていなません。
日本は戦争こそしていませんが、韓国の竹島や中国の尖閣諸島へ実効支配を強めている動きは、戦争の火種になることは誰の目にも明らかです。
なぜ、話し合いではなく力を行使しようとするのか、本書を引用すれば、
人間のあいだで利害が対立したときに、決着をつけるのは原則として暴力なのです。
と言うことができるかもしれません。
それが有史以来、変わらぬ事実です。
日本は対話を求め、話し合いで解決を望んでいますが、韓国にしろ中国にしろ、話し合いでの解決は望んでいないのは明らかでしょう。
とても悲しいことですが、それが現実でもあります。
非暴力が正しいわけではない
フロイトは暴力について、
法とはもともとはむきだしの暴力だったこと、現在でも暴力による支えを必要としていることを忘れてはならないのです。
とも書いています。
これは確かに事実だなと。
暴力による支えとは、端的に言えば警察ですね。
もし警察がいなければ、犯罪者は野放しのままですから。
結局、暴力が無いと解決できないこともあるわけです。
戦争を防止するには
戦争を起こさない方法としてフロイトは、
戦争を確実に防止するためには、人類が一つの中央集権的な政府を設立することに合意する必要があります。そしてすべての利害の対立を調定する権利を、この中央政府に委ねなければならないのです。
という案を出しています。
言ってしまえば、世界政府というか、地球政府というか、世界全体が1つの国家になれば防げるという話です。
個人的には最近アマプラで公開された沈黙の艦隊 – シーズン1【東京湾大海戦】が頭をふとよぎりました。
この意見は正しいように思えますが、実際には国対国の戦争は起きないけれども、民族間の紛争とか、テロのようなことは起きるだろうなと。
結局、暴力によって自分の主張を通す人がいる限り、どんな政府であっても、形を変えた戦争が起きるように思えます。
個人的には、その部分の解明というか、暴力によって自分の主張を通す人にどう対処していくかが戦争を防ぐ鍵なんじゃないかなと。
暴力と言っても、単純に力で殴るだけではなくて、権力の濫用もそうですし、近年では言葉というか考え方によって他者を強く攻撃するようなことも、個人的には含まれるかなと思ったり。
何が言いたいかというと、自分の主張を通すことが目的になってしまうと人は暴走してまうのかなという話です。
最後に、本書での一番印象的だった
さて、だれもが平和主義者になるまで、あとどのくらい待たねばならないのでしょうか
という言葉で締めたいと思います。