兵は拙速を尊ぶ 今も昔もスピード重要 孫氏を学ぶ

投稿者: | 2020年12月23日

其用戦也、勝久則鈍兵挫鋭。攻城則力屈。久暴師則国用不足。夫鈍兵挫鋭、屈力殫貨、則諸侯乗其弊而起。雖有智者、不能善其後矣。故兵聞拙速、未賭巧之久也。夫兵久而国利者、未之有也。故不尽知用兵之害者、則不能尽知用兵之利也。

その戦いを用うるや、勝つも久しければ、則ち兵を鈍らし鋭を挫く。城を攻むれば、則ち力屈す。久しく師を暴(さら)さば、則ち国用(こくよう)足らず。それ兵を鈍らし鋭を挫き、力を屈し貨(か)殫(つ)き、則ち諸侯、その弊に乗じて起こらん。智者ありと雖(いえど)も、その後を善くすること能(あた)わず。故に兵は拙速(せっそく)を聞くも、いまだ巧久(こうじ)を賭(み)ざるなり。それ兵(へい)久しくして国(くに)利あるは、未だこれわざるなり。故に尽(ことごと)く用兵の害を知らざれば、則ち尽く用兵の利を知ること能わざるなり。

私的意訳:

戦争が長期化すれば、感覚が鈍くなり鋭さが無くなる。城を攻めても兵力を失うばかりだ。長期間国の将軍が戦争に関われば国の準備が疎かになる。それはさらに感覚を鈍らせ鋭さが無くなり、兵力を失い、財力も無くなり、結果としてその隙きに諸侯が反乱を起こすだろう。智者であっても反乱が起きてしまったら改善するのは大変だ。だからこそ戦争は拙速が良いと言われ、巧久の例を見たことがない。戦争が長期化して国に利益はない。戦争による不利益を知らなければ、戦争の利益を知ることはできない。

兵は拙速を尊ぶの語源

本文は兵は拙速を尊ぶという言葉の語源となった部分です(兵は拙速(せっそく)を聞くも、いまだ巧久(こうじ)を賭(み)ざるなり)。

拙速は、完成が拙(つたな)くても速いこと。

巧久は、拙速の逆。巧遅(こうち)の意味。

訳としては

戦争が長期化すれば、感覚が鈍くなり鋭さが無くなる。城を攻めても兵力を失うばかりだ。長期間国の将軍が戦争に関われば、国の準備が疎かになる。それはさらに感覚を鈍らせ鋭さが無くなり、兵力を失い、財力も無くなり、結果としてその隙きに諸侯が反乱を起こすだろう。智者であっても、反乱が起きてしまったら、改善するのは大変だ。だからこそ、戦争は拙速が良いと言われ、巧久の例を見たことがない。戦争が長期化して国に利益はない。戦争による不利益を知らなければ、戦争の利益を知ることはできない。

という感じかなと。

スピードか?完成度か?

仕事をするにあたって重要なのは、スピードか? 完成度か? というのは、永遠のテーマだと思います。

完成度の高いものを速く作れというのが、多くの上司が求めることですが、それが出来ていたら、そもそも会社はもっと楽に儲かっていますし、誰も苦労はしません。

また、両方を追い求めた結果、多くの場合は、中途半端なものが出来上がってしまいます。

近年のITやゲームの世界では、スピードが重要視されています。

ゲームソフト サイバーパンク2077のようにバグが多すぎて販売停止や返金になってしまう例もありますが、多くの場合、バージョンアップでバグ対応や完成度を高めています。

完成度を求めてヒットしたゲームとしては、天穂のサクナヒメがありますね。人数が少ないですが、5年という歳月をかけて制作し、本格的な米づくりの完成度の高さに多くの人が唸りました。

しかし、天穂のサクナヒメは、時間をかけたからヒットしたわけではありません。実際には2015年のコミックマーケットにて天穂のサクナ(仮)の名称でPC用体験版が配布され、その後もコミックマーケットにて配布されています。つまり、最初の製品は2015年であり、その後アップデートを重ねて満を持して製品版が2020年11月に発売されたのです。つまり、いきなり2020年に発売されたわけではないのです。

この例を見ても、スピード重視というのがよくわかります。まずは作って出し意見を聞いてアップデートしていくというのが、定石と言えそうです。

サイバーパンク2077にしても、当初からベータ版などで配布してユーザの意見を求めていたら、違った結果になったのではないかなと思います。

リンク

孫子を学ぶ 始計篇 | ネルログ

孫氏を学ぶ 作戦篇 | ネルログ

※本内容は個人的に調べてまとめたものです。一般的な内容とは若干異なる点があることをご了承ください。