評価・レビュー
☆5/5
イエール大学の天才をテーマにした講義の書籍化。過去、天才と呼ばれた人々のエピソードを様々な角度から分類し、天才の傾向を探るという内容です。
目次は、
- 仕事への姿勢(Lesson1)
- 立ち直る力(Lesson2)
- 独創性(Lesson3)
- 子どものような想像力(Lesson4)
- 飽くなき好奇心(Lesson5)
- 情熱(Lesson6)
- クリエイティブな不適応(Lesson7)
- 反逆精神(Lesson8)
- 越境思考(Lesson9)
- 通常とは正反対の行動(Lesson10)
- 準備(Lesson11)
- 執念(Lesson12)
- 気晴らし(Lesson13)
- 集中(Lesson14)
という感じ。
で、かなりの分量があるので、結構読み進めるのが大変でした。
また、本書では天才を、
天才とは、精神力が並外れていて、その人独自の業績や見解が、文化や時代を超えて、良くも悪くも社会を大きく変革する人を指す。
と定義しています。
加えて、特に天才の創り方や天才のメカニズムについて詳細な研究をしているわけでは無いため、天才になりたい人や天才を育てたい人には向いてないかなと。
冒頭で述べたように、膨大な資料から天才の特徴を抽出し、それを分類したという内容なので、求めているものが違うと肩透かし感はあると感じました。
個人的には結構ハードでしたが、非常に面白く、天才の定義が変わったと感じたので、評価は☆5としています。
IQは天才を測る指標にはならない
本書には興味深い話がいくつもあります。その中でも面白いのは、IQは天才を測る指標にはならないという点でしょう。
もちろん、天才の中にはIQが高い人がいるのも確かです。しかし、その逆は成り立たないというのが本書で述べられている内容。
確かに、IQが高い人はたくさんいますが、過去の天才と言われたダ・ビンチやアインシュタイン、ゴッホ、モーツァルトなどと比べると、その名声は天と地ほどの差があります。
IQは確かに情報処理能力という点で、指標としての価値はあると思いますが、こと天才においては、IQという枠すら意味が無いと言えるのかもしれません。
神童は天才にならない
これも面白い話でした。小さい頃、神童と呼ばれた人たちは、天才になれないという話。IQの話にも通じているのですが、神童と呼ばれる子どもたちの多くは、情報処理能力が高い点が評価されることが多いためと本書では書かれています。
例えば、計算が早いとか、記憶力が良いとかです。
天才の中には当然、これらの能力が高い人もいますが、逆のパターンは適用されないという話でもあります。
また、多くの天才は、10代の頃、不出来だった人も多く、神童とは程遠い評価だったことも紹介されています。
これは感覚的には同じように感じていたので、ある程度納得。
天才とは
最後に個人的な天才の定義について書いておこうかなと。
ずばり、
天才とは多くの人が諦めてしまうような困難な問題に取り組み、その答えを導き出し社会を変えたた者で、人々がその人物を称えるために与えた称号
という感じかなと。
つまり、天才は創られるもので、天才が存在するわけではないというのが個人的な感想です。