さいはての彼女 – 肩書きを失ってみて初めて、私は個人である自分を意識した

投稿者: | 2024年6月27日

評価・レビュー

☆5/5

様々な要因で人生に立ち止まってしまった主人公が旅などを通して、再び歩き始め、人生が動き出すという物語の短編集。

主人公はすべて女性なので、女性の方は共感できる部分も多いかなと。

また、死語ですがキャリアウーマン的な、バリバリ働いていた主人公が多いので、まさにバリバリと働いている人にも刺さるかなと思いました。

加えて、それぞれの主人公が何らかの事情で、一度歩みを止めることになるので、仕事に疲れてしまった人も、何か心に得るものがあるかなと。

短編集でそれぞれの話単体でも楽しめますが、関連している話もあるので、4話すべて読んで完結という感じ。

キーアイテムとして、ハーレーが登場します。なので、バイク好きの方もおそらく楽しめるかなと。

自分はバイクに詳しくはないので、どの程度、共感できるかはわかりませんが、少なくともハーレーにちょっと興味が湧きました。

全体的にどの話も読後感の清々しさというか、爽やかさがあって、サラサラと読めるのも良いと思いました。

以下は本書から引用しながら、個人的に思ったことなどのメモ。

一時間後に立ち直っている自分を想像する

最悪の事態に直面したとき、一時間後に立ち直っている自分を想像できるか。それができる人は、一年後、十年後、必ず成功する人です。

原田 マハ. さいはての彼女 (角川文庫)

自分はメンタル弱々なので、こういう強メンタルの人は凄いなと思います。

確かに、自分が出会ってきた人で凄い人は、切り替えが早い人が多い印象。

お前が勝手に引いた「線」なんだ

ナギ。そんな「線」は、どこにもない。もしあるとしたら、それは耳が聞こえる人たちが引いた「線」じゃない。お前が勝手に引いた「線」なんだ。

原田 マハ. さいはての彼女 (角川文庫)

ナギという耳が聞こえない女性が小さい頃に、自分と他の人との間に違いがあることで、そこに境界があって線が引かれていると感じていたことに対して、親が諭した言葉です。

大切だなと思ったのは、境界線を自分で引いてしまっていないか?という点。

もちろん、自分の失言や良くない行動によって、距離を置かれてしまうということはあるかもしれません。

しかし、何もしていないのに距離を置かれるということは、あまりないかなと。

実際、皆さんはどうでしょうか?

あまり話したことがない人に対して、線を引いて距離を置くことってあるでしょうか?

まあ、海外だといろいろとありますが、日本の場合って、あまりそういう例は少ないかなと。

何が言いたいかというと、自分が線を引かないように、相手も線を引かないので、相手が線を引いているのではないか?と勝手に想像するのは、あまり良い結果を生まないかなということです。

肩書きを失ってみて初めて、私は個人である自分を意識した

会社勤めをしていた頃の私の、なんと虚勢を張っていたことか。大企業の肩書きを使えば、誰にでも会える、お金も使える、どんなことでもできると高をくくっていた。  肩書きを失ってみて初めて、私は個人である自分を意識した。

原田 マハ. さいはての彼女 (角川文庫)

これは自分が体験した話ですが、起業した時に、以前の取引先に仕事を依頼しようとしたら、断られてしまいました。

流石にお客を取るのはNGですが、仕事の依頼でこちらがお金を払う方なので、問題無いと思っていたのですが、先方としては実績がない会社とは取引できないということでした。

また、肩書が無くなったことで感じたのは、出入りできる場所が一気に減ったこと。

自分は編集という仕事をしていたこともあって、大概のイベントはメディアと名乗って名刺を出せば入れたんですよね。

流石に自分のメディアとは全然関係のないイベントには入ったことはありませんが、圧倒的に会社の名刺というのは強いなと思いました。

結局会社の信用度というのは、それまで働いてきた方たちが積み重ねてきたもの。

自分自身の実績ではないんですよね。

会社を辞めてそれを痛感しました。

どんな大それたことでも

「どんな大それたことでも、誰かがそう考えるところから始まるんじゃないかな」

原田 マハ. さいはての彼女 (角川文庫)

誰しもがわかってはいるけれど、その最初の一歩が難しいなあと。

ただ、考えて行動しないと何もはじまらないんですよね。

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