評価・レビュー
☆4/5
ローンで一戸建てを買ってコツコツと返していたのに、葬儀代や娘の結婚費用などで大きな出費がかさんだ上に夫が失業し、さらに浪費家の姑と同居することになった主婦の物語。
原作は垣谷美雨先生の同名小説で、2021年公開のたぶんコメディ。たぶんというのは、結構多くの人にとって他人事ではないため、意外と切実な話にも思えるので。
結構楽しく見れたのですが、状況が一概に笑えないこともあって、純粋に楽しむことができなかったなあというのが本音かなと。そういう意味で☆4としました。
税金負担は大きいが福祉は充実していない日本
日本では2022年度の国民負担率は47.5%で五公五民に近い状態などと言われています。さらに政府は増税する気満々。
また異なった指標でGDPを元に算出すると19年度で35.8%で、福祉が充実したスウェーデンでは37.1%、さらに20年度はコロナ禍でその%は上がっている状態です。まあ、増税されても福祉が充実していれば問題ないですが、実際には逆の状態に向かっています。
参考:一揆寸前?令和の時代の「五公五民」は本当か 「国民負担率47.5%」の意味を考える:東京新聞 TOKYO Web
老後に必要な資金は今後増える
つまり何が言いたいかというと、現在老後には2000〜3000万必要と言われていますが、今後増税が続けばその金額を貯めることも難しくなってきます。
また貯めることができたとしても福祉が充実しておらず社会保険料の負担も増えるとすると実際には足りない可能性が高くなるわけです。その上物価が上がったら、確実に足りないと言えるでしょう。
本作のように急に失業する可能性もありますし、病気になる可能性だってあります。正直、リスクだらけの未来しかないのが現状なんですよね。
だから、本作はコメディ作品ではあるのですが、実際には笑えないって感じなわけです。笑える人は1億ぐらい貯金がある人ぐらいかなって思います。そういう意味では一石を投じる作品でもあると感じました。
エンタメとして作られたけど状況が変わりすぎた
実際には作っている側にそういう意図は無いかなとは思います。そういうニュアンスも無いですし、ストーリーもそうじゃないですし。ただ、公開時から1年半しか経っていませんが、状況が大きく変化してしまったというのが実情かなと思います。
実際問題、増税したら経済成長は鈍くなるのは当然なのに、増税した上で大きな経済成長をさせようとしているのはあまりにも矛盾してますよね。でも、その矛盾を矛盾と感じない人たちが今の国を動かしているので、どうしようも無いかなと。まあ、インフレ起こせば結構解決する問題もあるのですが、インフレも抑えようとしているので、八方塞がり状態。
二兎を追う者は一兎をも得ずなんて言葉がありますが、まさにその典型的な例。
コロナ禍の影響が大きかったことは間違い無いですが、少なくとも決定的な政策を打ち出せていなかったので、コロナ禍によってそれが早まっただけで、遅かれ早かれ同じ状況になっていたことは間違いないかなと。
という感じで1億貯金があったら笑えて見れたなあとは思いました。