
評価・レビュー
☆4/5
取り壊しが決まっているアパートの住人たちと隣にある水色の家の話。
春の庭というのは、その水色の家をテーマに撮影された写真集の名前です。
純文学なのと、特に何かあるわけではないので、かなり好みは分かれるかなという印象。
個人的にスマホの描写が出てきたときに、壊と新、古と今みたいなアンバランスさ感を感じて面白いなと思いました。
街は生き物
昔、自分が住んでいた場所は、商業ビルが立ち並び、美しい公園もあって、一見きれいな町並みでした。
一方で、ちょっと脇道に入ると人が住んでいるんだろうか? みたいなボロ家もあって、春の庭を読みながら、そんなことを思い出しました。
先日、久しぶりにその場所に行ってみたら、ボロ屋は無くなっていて、新しいタワマンが建っていました。
春の庭の中で、主人公たちが住んでいるアパートも取り壊されて、きっと新しい何かが建つのか、駐車場になるのか。
少なくとも、街は時間とともに変化していくなあなんて。
なんか街自体が生き物のような感覚を自分は持っています。
で、人間の心ってのも、そうなのかもなあとか、思いました。