評価・レビュー
☆4/5
文章からも、筆者本人の自己肯定感の強さを感じることができ、意識高い系の人でガツガツと行動できる人向けの本かなと思いました。
☆4にした理由が、終盤でスピリチュアルな感じの内容が出てくるため。言わんとすることはわかるのですが、じゃあ、宗教と何が違うのか? そもそも宇宙とは何かがわかっているのか? そのあたりが個人的な疑問としてありました。
つまり、宗教や宇宙的な何か、超自然的な何か、神でも良いですけど、それを何も考えずに信じるという考え方が、個人的な感覚とは違うかなという感じです。
あくまで自分とは感性が違うなという話なので、冒頭で書いたように、意識高い系でガツガツ行動できる人には向いていると思います。
あと、最先端科学研究とタイトルにありましたが、科学研究要素は少ないです。そこも少しマイナスな点だったかなと。
ざっくり紹介
鋼の自己肯定感 ~「最先端の研究結果×シリコンバレーの習慣」から開発された“二度と下がらない”方法では、
自己肯定感についての誤解を解き、鋼のように強い自己肯定感を築く方法を紹介。著者はシリコンバレーでの経験や科学的根拠を基にしており、心理学や様々なビジネスの習慣、そして自身も低い自己肯定感を持っていた経験から、幸福を追求するための解決策を提案。
ざっくりと、
- ほとんどの人が自己肯定感について勘違いしていること
- 自信を高めようとするとなぜ失敗するのか
- 自己肯定感は失業しても下がらない
- アメリカでは「ノー」を言われるまでイエスとする傾向があるが、日本では逆
- 自己肯定感は自己有用感や自己効力感とは別物であり、混同すると危険
- 自己肯定感が低いままで自己有用感だけを高めることや自己効力感だけを高めることは、地獄のような状態になる
- 自己肯定感は自己中心的ではない
- 対処療法を続けても自己肯定感は上がらない
- 鋼のような自己肯定感は即座に手に入れることができる
- 「私は」という言葉が非常に重要
- 「私は自分が大好きです」と唱えるだけで良い
- 犯人の幸せを願うこともできる─思考や感情を選ぶことができる
- 謙遜も悪いことではないが、最小限に抑えるべき
- 「逃げる」は勇気のある尊い行為である
という感じ。
個人的に感じた重要ポイント
これらの基本として重要なのが、
- アフォメーション(肯定的な言葉による自己暗示)
- 自分と他者への赦し
かなと。
このあたりも良く言われていることですが、少し文章が冗長なところもあって、もっとシンプルにまとめても良かったように思いました。
個人的に印象に残った内容
個人的に印象に残った内容を引用を交えて書いていきます。
鋼の自己肯定感を育てる第一歩
鋼の自己肯定感を育てる第一歩は、「それが自分にとって大事なことだと自覚し、なおかつ可能である」と思うことだ。そう、自己肯定感は決意が大事。決意であれば、誰でもいつでもすることができる。
宮崎直子. 鋼の自己肯定感 ~「最先端の研究結果×シリコンバレーの習慣」から開発された二度と下がらない方法 (Japanese Edition) (p.5). Kindle 版.
本書では最初に決意が重要と述べています。言わば、やる気出せと。結構最初からこういう感じなので、人によって合う合わないは出てくるかなと感じました。
レイオフはチャンス
シリコンバレーの住人の多くはレイオフされると、今までできなかったことができるちょうどいい機会だと考える。
宮崎直子. 鋼の自己肯定感 ~「最先端の研究結果×シリコンバレーの習慣」から開発された二度と下がらない方法 (Japanese Edition) (p.22). Kindle 版.
これも言葉として個人的には、興味深いなと感じました。確かにレイオフ(一時解雇)というマイナスの面をプラスに捉えることで、新しいチャレンジができたり、新しいチャンスが生まれるかもしれないですからね。
ただ、この点も最先端科学を標榜するのであれば、人間の遺伝子レベルでの性格にも踏み込んで欲しかったかなというのが、個人的な感覚です。
欧米人と日本人では遺伝子レベルで違いがあり、それが性格にも影響していることがわかっています。もちろん、個人差がありますが、遺伝子レベルの性格は先天的なもので、後天的に性格を変えていくことも可能です。
しかし、多くの日本人の特性としてある性格にはそぐわない考え方だと思うので、その点を踏まえた上で、どうすれば良いのか?という点を科学的な見地から、考察があると個人的には嬉しかったかなと。
自己肯定感とは
自己肯定感とはありのままの自分を愛すること
宮崎直子. 鋼の自己肯定感 ~「最先端の研究結果×シリコンバレーの習慣」から開発された二度と下がらない方法 (Japanese Edition) (p.48). Kindle 版.
本書では自己肯定感を上記のように定義しています。これは、この手の自己肯定感系の話では良く出てきますし、最近、昔の哲学者の本を読んでいるのですが、多くの哲学者も同じようなことを述べていました。
なので、正しいのだろうなと思います。
ただ、この「ありのままの自分を愛すること」って非常に難しいんですよね。なぜならば、人間は社会を生み出し、社会性を持つ動物だからです。自分1人だけであれば問題ないのですが、どうやっても他者と関わり合う必要がでてきます。
一番近く、影響が大きのは親です。
親の育て方によって、子どもの性格、人格はかなり変わってきます。それは誰もが知っていることです。
特に現代では、日本場合、受験戦争があり、親の財力が大学の合否に大きく関わっていることがわかっています。いわゆる親ガチャなんて言われることもありますね。
どれほど才能があっても、親ガチャに失敗すれば、その才能が埋もれてしまうこともあるということです。
で、そんな状況というか、現実を多くの人が知り、認識している状態なわけです。それが現実。
その現実をどうやって打ち破るのかは、非常に難しいなと思います。たぶん、本書を読んだだけでは、ぶち破ることが難しいというのが個人的感想です。
なので、そのあたりの人格の変え方だったり、不遇な状況を打破する方法について、もっと科学的見地からの見解は欲しかったかなあと。
なぜならば、本書を書かれている筆者は、聡明で、そしてある程度恵まれている方なんですよね。どういうことかというと、自分で道を切り開くこともできるし、自分をコントロールできている方なんだと思います。
しかし、普通人はそれができないわけです。
その当たりの格差というか、温度差というのを個人的には感じました。