評価・レビュー
☆5/5
何十年も続くコカ・コーラとペプシの戦いにおいて、熾烈を極めた1980年代の戦いを描いたドキュメンタリー映画。
アマプラに追加されたので観たのですが、いやあ、なかなかに凄いですね。日本でもコカ・コーラとペプシは「どっち派」みたいな話がありますが、アメリカではそれが過剰というか過激。
特に1980年代は炭酸飲料の種類も少なかったですし、他に競合となるような飲料も無かったことから、かなりぶつかりあったようです。もはや宗教戦争に近い様相。
ただ、その争いの中から、新たなマーケティング手法が生まれたり、新しい商品が登場したりしているので、失敗も多くあったものの、チャレンジングな時代だったのだと感じました。
コーラが好きなら普通に楽しめる作品だと思います。
以下では少し内容についても交えながら感想を。
ペプシチャレンジ
マーケティング手法で興味深かったのはペプシチャレンジ。コカ・コーラとペプシを隠した状態で飲んで貰いどちらが美味しいか?を普通の人に試してもらうというCM。仕掛けたのはペプシで、当然ですが、多くの人がペプシを選びます。まあ、CMですからね。
ただ、この手法で面白いなと思ったのは、
炭酸飲料として3位だったペプシがあたかもコカ・コーラのライバルであるように感じせた
という点です。
実際のこのマーケティングでペプシは炭酸飲料業界でコカ・コーラに次ぐ2位にポジションを上げています。
これは結構使えるというか、2位の人にしてみたら、たまったもんじゃないマーケティング手法ですが、非常に効果はありそうだなと感じました。
例えば、マクドナルドに対してバーガーキングが仕掛けるような感じ。日本だとロッテリアが強いですが、ライバルのように描かれたら、そうかな?って錯覚してしまうと思います。
日本では明確にライバルを叩くようなCMは好まれませんが、SNSなどを使って、アンケートを取るなども面白いと思います。また直接的なところでは、Youtuberを使ってマクドナルド vs バーガーキングみたいなプロモーションを仕掛けたら、かなり面白そうです。
揺り戻しの強さ
もう1つ興味深かったのは、クラシックコーラの誕生の話。誕生というか、そうせざるを得なかったという状態ではありますが。
コカ・コーラはペプシの猛追に対して、コカ・コーラの味を変えるという手法を選択しました。しかし、ユーザからは大批判。コカ・コーラの売上は落ちてしまいます。
で、仕方なくクラシックコーラという形で、昔のコーラを出すのですが、それによって売上は大きく回復、シェアも増えました。
その分析として、ユーザが新コーラに強く反対したことで、クラシックコーラを買わざるを得なかった状況があったと本ドキュメンタリーで説明しています。
これは確かにそうで、いわゆる揺り戻しという現象。また、心理学的には一貫性の法則なども影響しているのかなと感じました。
このあたりはリスクがあるので狙ってやることこも難しいですが、成功すると大きな効果が見込めるだろうなと。失敗したら、そのまま消えてしまう可能性もあるし、そもそも反発が起きない可能性もあって、本当に難しいなと思います。