朝倉未来 vs. クレベル・コイケ 私的分析

投稿者: | 2021年6月15日


RIZIN FIGHTING FEDERATION
にで、RIZIN.28の朝倉未来 vs. クレベル・コイケ戦が公開されましたね。

改めて見てみると、今回は戦略の差がかなり勝敗に出ていたように思います。

徹底的にコーナーでタックル

今回、一番感じたのはクレベル選手が徹底的に朝倉選手にコーナーを背負わせ、その上でタックルしている点。

1R、2Rともその戦略が徹底しています。

打ち合いでは朝倉選手の方が有利だったと思いますし、実際に打ち合いの圧でコーナーに押し込められたわけではありませんでした。

見ているとわかりますが、クレベル選手がしきりにリング中央に移動し、その後はコーナーに移動するように位置取りを変えていっています。気づいたら朝倉選手はコーナーを背にしてしまい、タックルが切りづらい状態になっていました。

後ろにスペースがあれば、バックステップでも逃げられますし、左右にも移動できるので、逃げの選択肢が多くなります。また膝で迎撃するという選択肢もあるので、リング中央ではタックルが成功しにくいんですよね。

逆にコーナーだと後ろにも左右にも逃げられないので、タックルへの対応が迎撃一択になります。しかし、間合いが近すぎてそれが難しく、タックルを切るしか方法が無かったという印象です。

これは完全に朝倉選手の戦略負けですね。立ち技が強いとか、寝技が強いとか、それ以前の問題で頭で考える部分。できればセコンドがそのことを強く朝倉選手に言い、徹底的にコーナーを背負わないようにしていたら、朝倉選手が判定で勝ったのではないでしょうか。

遅いリズム

当初予想したように、両者遅いリズムでの試合になりました。朝倉選手は1Rはちょこちょこリズムを上げていたシーンがありましたが、結局クレベル選手のリズムに合わせて対戦してしまった印象です。

朝倉選手はリズムを上げて動き回る必要があったのですが、結局リズムは遅いままで、コーナーから逃げるタイミングを逃していました。

このあたりクレベル選手は巧みで、ゆっくりなリズムなのですが、ポジションを変える時はリズムを上げてスタコラサッサと移動してます。このあたりが大きな違いだったかなと。

寝技の技量差、経験差

最後の三角絞めは寝技の技量差と経験差がでた感じですね。

相手の手をどかしながら足を頭の方に移動させるというのは、よくあるパターン。寝技の技量がある人や経験値が高い人の場合、それがわかっているので自分の手を首から遠い位置におくことはありません。インファイターでグラウンドのマウントポジションから殴るタイプの人は結構首の位置から手を遠くの位置におくことが多く、朝倉選手も同様かなと思います。

どうしてもバッググラウンドとして寝技で戦うという経験が幼い頃からあったわけではないので、その差が出たような印象です。これまでの朝倉選手の相手はここまでの寝業師は少なかったというのも経験の差として出た気がします。

これは最初から言われていたことだったので、いかに寝技に持ち込まれないようにするか?が重要だったのかなと。今回の場合はコーナーを背負わないというのが戦略として重要だったと思います

結論

やはり戦略差が出たかなというのが個人的印象です。立ち技では朝倉選手が勝っていたと思いますし、クレベル選手の立ち回りが良かったというのが、今回の勝因だったのではないでしょうか。