評価
☆4/5
犯人に翻弄されるというのはこういうことを言うんだろうなあと思った映画。派手さはないですが、犯人と刑事の攻防が面白いクライム・サスペンスです。
話としては、
恋人の殺人で捕まったカン・テオが他に6人の人間を殺したと告白する。警察内部ではその自供をまともに相手にしなかったが、キム・ヒョンミン刑事は殺人を真実だと直感で感じ捜査をはじめる。カン・テオは追加の情報を語るために様々な要求をし、キム・ヒョンミン刑事はその要求に応じて遺体探しをはじめていくが・・・
という感じ。
暗数とは実際の数値と統計の数値の差で、犯罪についていえば実際に起きた事件の数と表沙汰になって把握できている事件の差のこと。つまり、暗数殺人とは表沙汰になっていない殺人事件。
つまり、表沙汰になっていない事件のため、実際にあったかどうかも定かではなく、警察としては動きようがない事件がテーマです。この設定が個人的にはとても良かったなと思いました。
観ている側としても、犯人の言動が正しいのか、フェイクなのか、刑事が騙されているか、まったくわからない状況で、刑事だけでなく視聴者も翻弄する作品。
韓国で実際に起きた殺人事件を基にしている作品ということもあり、ドキュメンタリーに近いところもあるかなと思います。というのも、ミステリ的な推理で痛快解決というわけではありません。そのあたりは評価がちょっと分かれそうな感じもします。
韓国のドラマや映画は、この手の作品のクオリティがとても高いですね。日本の作品も面白いのですが、どうしてもエンタメ的なことを意識しすぎるせいか、有名な俳優を使って話題性を重視し、楽しませる映画が多い印象です。こういう重厚な作品も日本で作って欲しいなあと。
本作では特に主人公の刑事があまり表情を出さず、自身の直感を信じ淡々と捜査をしていくというのが作品としての重みを出しているように思います。
派手さはないですが、良作クライム・サスペンスだと思います。