評価・レビュー
☆4/5
大学の図書館に保管されている時価1200万ドルの本を盗もうとした大学生4人の話。当時の状況を映像化したドラマ部分と、現在の当事者たちのインタビューパートで構成されているのが特徴。
最近見た実話を元にした強盗の話だとミリオンダラー・スティーラーが印象に残っていて、そちらは緻密な計画で強盗をするのですが、アメリカン・アニマルズはかなり杜撰な計画で犯行に及んでいます。
そのあたりが酷評の理由なのかなと。
ただ、個人的には本作はかなり良い作品だと思いました。その理由として、
- 何者かに成れるチャンスが目の前にあった時、若い自分はその誘惑に勝てるのか?
- 傍から見たら杜撰な計画に見えるが果たしてそれを笑えるのか?
という点。
誰しもが自分が何者かに成れると思っていたはず
若い時というのは、誰しもが自分は特別で何者かに成れると思っていたと思います。しかし、歳を取るにつれ、その思いは薄らいでいくわけです。
特に大学生というのは現実を知る時期でもあります。
自分は特別な人間ではなく普通の人間で日本だったらサラリーマンになって・・・という未来に実感が湧く時期なわけです。
そんな時に時価1200万ドルという本を盗むという話が出てきます。もし成功すれば自分は特別な人間に成れるという甘い誘いが来るのです。
その誘いをキッパリと断り続ける自信を持っている人はどれだけいるだろうか?と思います。個人的にはこれがまさに青春だなあと感じました。
杜撰な計画を笑えるのか?
賢い人間というのは世の中にわずかしか存在しません。自分も含めて多くは有象無象なわけです。
それを表しているのが本人たちのインタビューパート。彼らは有名になっているわけでもなく、普通の人として今は生活しているわけです。映画の視聴者たちと一緒。
つまり、彼らを馬鹿にするということは、自分自身を馬鹿にしているのと一緒なんですよね。これが本作のキモだと思っています。
自分は賢い、自分の正しい評価をしているというその認識は、後から考えると馬鹿みたいだよねという話。
そう考えていろいろと見ると映画外の話が一番面白くなってきます。自分は彼らとは違う特別な人間だと考えている人がなんと多いことか。
本作を見て改めて自分は愚か者だなということを再認識しました。はい。
あらすじ
時価12億円のヴィンテージ本を狙った前代未聞の強盗事件。犯人は、4人の大学生。まさかの実話。事件を起こした本人たちを劇中に登場させ、ドキュメンタリーとドラマのハイブリッドにスタイリッシュな映像と音楽を盛りこんだセンセーショナルなハイブリッド・クライム・エンタテインメント!2004年、ケンタッキー州トランシルヴァニア大学の図書館で窃盗事件が起こった。標的は図書館に貯蔵された時価1200万ドルの価値がある画集「アメリカの鳥類」。犯人は大学生4人組だった。何一つ不自由のないはずの中流階級出身の彼らは何故犯罪に手を染めたのか?何が彼らを突き動かしたのか?アメリカ犯罪史上最も大胆不敵なこの強盗事件の結末は―。
アマプラ:アメリカン・アニマルズ
2018年のアメリカ・イギリス映画。
リンク
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- アマプラ:アメリカン・アニマルズ
- アメリカン・アニマルズ – Wikipedia