40万キロかなたの恋 ドラマレビュー コロナ禍の制限で生まれた秀逸設定な良作ドラマ

投稿者: | 2021年10月24日

40万キロかなたの恋とは

人類が宇宙で生活するために必要なサンプルデータを取るため、AIのユリ(声 吉岡里帆)と1年間宇宙に滞在している宇宙飛行士 高村宗一(千葉雄大)。高村は他者との距離の測り方が理解できず、人間関係が少ない1人での宇宙生活を満喫していたが、TVディレクターの元恋人 鮎原咲子(門脇麦)から取材を受けることになる。

高村と鮎原は取材のことで口論になるが、そこにAI ユリが加わり、不思議な関係性が生まれるのだった・・・。

2020年作品。全4話。主演 千葉雄大。

評価

☆4/5

人が少なくて成立設定をうまく使ったコロナ禍に作られたドラマ。若干チープさはありますが、わかりやすい話の進め方で1話30分程度ということもあり、サクサク見れるのが特徴です。

偏屈な人間嫌いを演じるのは千葉雄大さん。結構他のドラマでもあまり表情を出さない役を演じていることもあってか、結構ハマってしましたね。また、元恋人役 門脇麦さんが個人的には良かったです。最初はそうでも無いのですが、話が進むに従って魅力あふれる役になっていく鮎原咲子がうまく表現できていたように思います。

オチもベタでわかりやすいですが、コロナ禍の制約の中でうまくマッチする企画を作り、主人公たちのやりとりや心の機微にフォーカスした丁寧なストーリー作りに好感が持てる良作ドラマです。

ネタバレありの感想

本作ではAIが人間のような感情を持ち、主人公を好きになり、三角関係のような状態になっています。

現在のAIではこれほど豊かな感情表現をすることは難しいのですが、人間関係が希薄になってきている世の中では、AIに恋をする人も増えてくるのではないかなと思います。

アニメやゲームなどのキャラクター、アイドルを好きになる人がいることを考えれば、AIを本気で好きになる人がいてもおかしくはないかなと。

またAI系の話っていろいろとあるのですが、本作が良かったのはAIと人間が2人で1年間過ごしたという設定です。AIがある程度チープだっとしても1年間も話し相手のメインになれば、何らかの感情が生まれてもおかしくはないですよね。本ドラマでは主人公が人を遠ざけるという性格があり、AIに対してもある程度の線を引いていたことから、AIに恋をするということはありませんでしたが、実際には有り得る話かなと思いました。

テーマとして興味深いのは、単純に快適な生活を提供してくれるAIよりも、感情を揺さぶられる人間に対して強く惹かれるという点でしょう。このあたりはアニメやゲームのキャラクター、アイドルなどとも同じような構図になっていると感じました。

つまり、何が言いたいかというと、人は心を揺さぶられる人を好きになるということ。

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