評価・レビュー
☆3/5
仕事と子育てに忙しい両親が、ある企業から子育てを代わりにやってくれる自分たちのアンドロイドを提供されたことで、仕事に集中できるようになるのだが、子どもたちが親がアンドロイドに一時的に変わってしまったことに気づいてしまい、アンドロイドのプログラムを一部変更して、自分たちの言いなりにしてしまうのだった・・・みたいな話。
人間がアンドロイドと入れ替わったり、人間のようなアンドロイドの話というのは、結構ありがちではあって、もう少しひねりが欲しかったかもとは個人的に思いました。
まだまだアンドロイドが人間社会に登場するには時間がかかりますが、アンドロイドでなかったとしても、子守という職業は昔からありますし、子育て代行なんてサービスも今後出てくるのかもしれません。
テレビゲームも子育て負荷の軽減
本作を観ていて個人的に感じたのは、テレビゲームの話。
そもそもテレビゲームが流行った理由は、テレビゲーム自体が刺激があって子どもたちが熱中したというのもありますが、親の子育て負荷の軽減というのもありました。
つまり、テレビゲームを与えておけば、子どもたちはそれに熱中するので、その間、親は休めるというわけです。
子どもの遊び相手になってくれるという方が、しっくり来るかもしれませんね。
ぬいぐるみなどは、話しかけても返事をしてくれませんが、テレビゲームはこちらがアクションをするとリアクションが返ってくるため、遊び相手としては最適というわけです。
つまり、テレビゲームの本質は、このアクションとリアクションにあるとも言えますね。
思い通りにならないことがリアクションの大切な要素
で、本作では最初子育てアンドロイドではあったものの、プログラムの変更によって、それが変化してしまうというのが、ポイントなのかなと。
つまり、当初はリアクションをしていたアンドロイドが、プログラム変更でリアクションをしなくなり、ただ命令を実行するアンドロイドに変化してしまったことで、子どもたちの欲望に歯止めが効かなくなり、大変なことになってしまうというわけです。
例えば、どんなゲームでも良いですが、すべてが自分の思い通りになったら、そこには面白さが無くなってしまいます。
ババ抜きをしているときに、すべてのカードが見えていたら、最初の1回は楽しくても、どんどんつまらなくなっていきますよね。
そうなると、今度はゲームを楽しむことができなくなり、他のことを楽しむようになるでしょう。
例えば、他のプレイヤーにいじわるをしてみたり、他のプレイヤーのカードをバラしてみたりして、他のプレイヤーのリアクションを面白がるようになるかなと。
本作もまさにそれで、子どもたちはアンドロイドを使うことによって、他の人のリアクションを楽しむようになってしまいます。
単純に力を手に入れたことによる暴走と捉えることもできますが、個人的にはリアクションの影響もあるかなと感じました。
何が言いたいかというと、人間においてリアクションというは大切な要素で、リアクションを楽しむのが人間ということ。
また、思い通りになるものはリアクションが発生しないので、それ自体への興味が薄れるという話です。