映画 予告犯 法で裁けない悪を裁くのは是か非か

投稿者: | 2022年10月5日

評価・レビュー

☆4/5

法では裁かれない悪人を予告制裁するシンブンシと名乗る謎の人物。果たして彼らの目的は何のか。みたいな話。

個人的にオチへの流れが良かったなあと思いました。ジャンルとしてはサスペンスなのかな。

2015年の作品ではありますが、現代の日本の状況を考えると、なんとなく通づる部分もあって興味深いです。

どんでん返し的な感じではありませんが、終盤の種明かし的な話も楽しめましたし、全体的にわかりやすく、見やすく作られていてエンタメ作品としても良作だと思います。

個人的にはもう少し社会的な面というか、構図の話がほしかったかなあという感じ。このあたりはどこにフォーカスするかで作り方も変わってくると思うので、あくまで個人的な好みの問題ですね。

ジャケットでわかってしまいますが、シンブンシ役の主演は生田斗真さん。また、そのシンブンシの正体を暴く警察側に戸田恵梨香さん。他にも演技派の方が登場していて、結構力入っているなあという感じです。

観て損はない作品だと思います。

あらすじ

犯罪者は、悪。警察は、正義。では、“シンブンシ”は?“彼ら”が繰り返した予告と制裁は、何のために、誰のために行われたのだろうか?事件は唐突に始まった。Tシャツ姿に新聞紙の頭巾を被り、ネット上に現れた“シンブンシ”と名乗る「彼」は、法では裁かれず、見過ごされがちな罪を犯した者たちを暴露。そして「彼」なりの制裁を加えていく。集団食中毒を起こした食品加工会社に対し、「食い物の扱いも知らないこいつらに、俺がきっちり火を通してやる」と予告。すると食品加工会社で火災が発生した。ネット犯罪を取り締まる、警視庁サイバー犯罪対策課の捜査官・吉野絵里香は、この謎の予告犯=“シンブンシ”の捜査に乗り出す。捜査を続ける吉野はシンブンシが単独犯ではなく、複数犯であることに気付く。それでも「彼ら」は吉野をあざ笑うかのように、予告と制裁を繰り返していく。

アマプラ:予告犯

原作は2011年から連載の筒井哲也先生の漫画。映画は2015年公開。


法で裁けない悪を裁くのは是か非か

本作のメインテーマでは無いのですが、1つの問題提起として、法で裁けない悪を裁くのは是か非か的な話があります。

海外の映画であれば、バットマンなどに代表されるダークヒーローの是か非か的な感じ。

で、昔はダークヒーローというのは映画や小説、漫画などのフィクションの世界の話であって、実際にそんなことをしたら問題という認識が一般的だったような気がしています。

しかしながら、現代においては、個ではなく集団によって、個人などを断罪するような風潮といか、文化が生まれつつあるように感じています。いわゆるSNSを使った集団による個人や企業などを叩くというキャンセルカルチャーです。

わかりやすいのは失言による個人や企業叩き。最悪の結末では、叩かれた人が自殺してしまうケースもありますよね。

これらの行動が正しいのかどうかというのは、未だに結論は出ていないんじゃないかなと。誹謗中傷については当然名誉毀損などで訴えられるので法の裁きがあるのですが、自殺してしまったケースについては誰も責任を取っていないというか、そもそも誰が責任を取るのかすら、判断が難しいとも言えます。

少なくとも人は亡くなっているわけで、それを良しとする人はいないと思いますが、未だにこのあたりの議論については結論が出ていないようにも思います。

その一方で、虐げたげられている人たちがいることも確かで、そういう人たちが声を上げやすい社会になってきているというメリットもあります。

自分も超ブラックな会社で働いていて、なかなかお金も貯まらず、転職がしにくい状況で働いていたことがありました。殴ったり蹴られたりしたこともありますし、本作を観ていろいろと考えさせられました。

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