評価・レビュー
☆5/5
実際に起きた事件をベースに作られた社会派ミステリ映画。
話としては、
医師のテフンが働いている病院に、普段から体調が良くなかった息子が呼吸困難で運び込まれ、その原因を探っていくと、そこには隠された大きな闇があった・・・
という感じ。
日本で言えば、薬害エイズ事件や水俣病事件などと近いですね。
個人的に元になった事件である加湿器殺菌剤事件を知らなかったので、その事件の内容も含めて、いろいろと驚きがありました。
またこの手の作品って、単調というか、淡々と描かれることが多いのです。
しかし、本作はエンタメ作品としても面白くできており、素晴らしいと思いました。
こういった事件については、風化させてはいけないと個人的には思っていて、こういう形で映画になるのはとても良いことかなと。
こういう事件が起きると、政府の偉い方たちは責任逃れに走ることが多いです。
映画でも表現されていますが、自分たちは悪くない的なやつ。管轄が違うとか、知らなかったとか。
個人的にはそこが一番の問題なんじゃないかなと。
大切なのは責任問題ではなくて、被害者の方たちの今後をどうするのか?ではないのかなあと思いました。
人間としての倫理観
この手の話で一番感じるのは、加害者の方たちの人間としての倫理観。
個人的には大きな企業や政府などで上に立つ人ほど、不正や犯罪に対して毅然と立ち向かう必要があるんじゃないかなと思っていますが、実際にはそうでないことの方が多いです。
多くの場合、情報を隠蔽することに注力し、事件を闇に葬ろうとします。
ただ、人間ですから魔が差すこともあるでしょうし、間違った選択をしてしまうこともあるのかなと。
だからこそ、不正が発覚したら、それを認め、悔い改めることが大切なんじゃないかなとは個人的に思っています。
それが人間としての倫理観なんじゃないかなって。
まあ、戯言なのはわかっていますが、それでも自分は日本の政府関係者やメディアの方たちに、人間としての倫理観だけは、わずかでも良いので持っていてほしいなと思っています。