お金に困らない人が学んでいること

投稿者: | 2024年10月16日

評価・レビュー

☆4/5

本書では、「お金に困らない人は学んでいる」という内容です。実際にお金に困らない人が、どのような知識を学んでいるか?ではなくて、学び続けているということを述べています。

なので、読んでいると、ちょっとタイトルと内容にズレを感じてしまうかもしれません。

冒頭で、ウォーレン・バフェット(投資の神様)の

ウォール街は唯一、ロールスロイスで送り迎えされる人が
地下鉄で通う人からアドバイスをもらうところです。

という言葉が引用されています。

つまり、お金持ちになるための方法ではない点には注意が必要です。

また、単純に学ぶことが重要と説くだけでなく、学び続けるためのコツや学びをお金に変える方法についても書かれています。

知識をただ得るだけでは意味がないということです。

ですので、自身の学びを振り返る、そしてこれからの学び方を考えるのに、参考になるかなと思います。

以下は本書より引用しつつ個人的なメモ。

お金を残すことはできないが、学びは残すことができる

お金を残すことはできないが、学びは残すことができる

個人的にお金持ちではないのもあって、心に残った言葉です。

実際にいろいろと人生に失敗して、再起が不可能になった状態であっても、その失敗から得られる学びというのは、後世に伝えることができます。

その昔、住む家が無い人たちが、なぜそのような状況になったのかの情報を集め、失敗学的な感じでまとめたら、面白いのではないかなと思ったことがあります。

本書でも、終盤は失敗に関する言葉が多く、

とくに、うまくいかなかった原因は財産です。成功の再現性は100%ではありませんが、失敗の再現性は100%だからです。

とあるように、失敗の傾向がつかめれば、成功はしなくても失敗しない人生を歩むことができる人が増えるんじゃないかなと。

カッツの理論

カッツの理論とは、著者のまとめた言葉を引用すると、

現場レベルで必要とされる能力と、中間管理、トップマネジメント層で求められる能力では、まったく異なる

ということ。

個人的にも非常に同意で、プレイヤーとして優秀な人間とマネジメント能力が高い人間は異なると思っています。

野球やサッカーの例がわかりやすく、名プレイヤーだからといって、必ずしも名監督にはならないですよね。

参考 → 名プレイヤー≠名監督ならば、優秀な部下≠優秀な上司ではないのか? | ネルログ

これはあくまで個人的に感じていることですが、会社に限らず、組織において、不協和が起きる原因は、この適材適所がうまくいっていないからではないかなと思っています。

ちなみに、上司としてのマネジメント能力は、知識を得るだけではまったく上がらないと個人的に考えていて、その理由は上辺だけの嘘はすぐ見透かされるため。

マネジメントの本がこれだけ大量に出ているのに、一向に上司部下の関係がうまくいかないのも、それが原因だと思っています。

自分の場合も、最初は全然ダメダメでしたが、ある時、会社の部下と友人から同じ指摘をされて、それ以降、自分自身の考え方が大きく変わりました。

結果、部下との関係性についてはかなり改善できました。

そういった経験が無いと、なかなか自分自身を変えることはできないと思います。

もちろん、もとからそういう能力に長けた人もいるので、全員に当てはまることではありませんが。

パーキンソンの法則

著者の言葉を借りると、パーキンソンの法則とは、

作業量は与えられた時間の分だけ膨張する

ということです。

これは結構あるあるだなと思います。30分でできる仕事でも、締切までに1時間あると1時間かけてやってしまうというやつ。

自分の場合は、時間を決めていますが、だいたいオーバーします。ちょっと違うかもしれないですが、仕事や作業を始めると、当初考えていた以上に、あれやこれやとやることが増えて時間をオーバーしてしまうんですよね。

このあたりは見積もりの甘さが原因でもあるかなと思いますし、うまく自分自身を律することも大切なのかなと。

ストーリーを絡めて覚える

スタンフォード大学のジェニファー・アーカー氏の研究によると、

ストーリーがあることで、事実や数値の羅列よりも最大で22倍も記憶に残りやすい

そうです。

これは確かにそうかなと一瞬思ったのですが、ストーリーがあるとその分、情報量が増えるので、一概に正しくないかもと思ったりしました。

というのも、例えば掛け算九九の場合、全部で81個の計算式を覚える必要がありますが、そこにストーリーを加えたら、その分量は膨大になりますよね。

81個の計算式だけなら、一枚のシートで済みますが、ストーリーも入れるとなると、1枚では済みません。

また、ストーリー自体も頭に入れないと思い出せなくなる気もします。

つまり何が言いたいかというと、本来覚えるべき事象にストーリーを加えた量の情報を覚える必要があるので、覚えなければいけない情報量が増え、その分、学習に時間がかかってしまうというデメリットがあるんじゃないかなと。

ただ、ストーリーをイメージでプラスすると、意外と覚える時間は短くなるかもって思ったり。

自分の場合、三国志が好きなのですが、桃園の誓いというと、やはり桃の花が舞って、劉備、関羽、張飛の3人が集っているイメージがすぐに思い浮かびます。

それ以外のストーリーに関する情報もたくさんでてきますが、ほとんどが文字ではなくてイメージです。

なので、ストーリーをイメージで加えると覚えやすいかもしれないなあと。

そのあたりは専門家ではないので、どの程度効果があるかはわかりませんが。

学ぶことをやめた者は老人

20歳であろうが80歳であろうが、学ぶことをやめた者は老人である。学び続ける者はいつまでも若い。人生で一番大切なことは、若い精神を持ち続けることだ

ヘンリー・フォードの言葉です。

自分はあと数年で50歳を迎え、若い時に比べると、様々な面で能力が落ちていることを実感しています。

ただ、学ぶことはずっと続けていきたいなと思っているのもあって、とても印象に残った言葉です。

現代国家論の原点的な著作 リヴァイアサンを書いたトマス・ホッブズも晩年に執筆活動を精力的に行っているのを最近知りました。

なので、歳を取ったからといって終わりではなく、精神が朽ち果てるまで、学び続けることが大事なんだろうなと、今は思っています。

という感じで、いろいろと書きましたが、他にも示唆を与えてくれる言葉が多く、またサラッと読めるので、学びの姿勢について考え直してみたいと考えているなら、読んでみると新しい発見があるかと思います。

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