マジカルグランマ – 歳は関係ない、逆境を跳ね除け生きたいように生きろ!的な物語

投稿者: | 2025年4月5日

評価・レビュー

☆4/5

元女優で映画監督と結婚し、子どもを産み育て、家庭内別居中の75歳の正子は、華々しい世界で女優として活躍する紀子のススメで、髪の毛を白髪に染め、女優としてCM出演し、世間から注目の存在になったのだが、ある事件をきっかけに人生が大きく変化する。家に転がり込んできた映画監督を目指す杏奈との暮らし、常にお金に困る状態で、もがきながら、新しいことへ挑戦していく、正子の生き様を生き生きと描いた作品。

マジカルグランマというのは、世間が求めている都合の良いおばあちゃん像のこと。

元々は、マジカルニグロという言葉があり、それが元になっています。

マジカルニグロとは、アメリカ映画において白人を助ける魔法使いのように何でもできる黒人キャラクターのことです。差別用語を使うことで、批判的なニュアンスで使われます。

つまり、本書のタイトルが意味するのは、理想のおばあちゃん像の破壊ということです。

第2回うたたね読書会で教えてもらった本なのですが、リセット Google流最高の自分を引き出す5つの方法で紹介されていた、84歳(2017年)の修道女でトライアスロン選手 シスター・マドンナ・ビューダーを思い出しました。

他にも、トマス・ホッブズも高齢でリヴァイアサンを書き上げていて、歳を取ることに対するネガティブな印象を払拭する、強さを感じます。

何が言いたいかというと、歳を取っても挑戦し続けられるということ。

マジカルグランマの主人公 正子も、最初は自分なんてという感じなのですが、徐々に変化し、どんどんパワフルになっていく姿が、読んでいて楽しいですし、自分の力になった気がします。

以下は、本書を引用しつつ、個人的なメモ。

バランス調整的なキャラクター

ハリウッドでは、白人を救済するためだけに存在する、魔法使いのようになんでもできる献身的な黒人キャラクターは、マジカルニグロ、とあえて差別用語を使って批判的に語られているらしい。
同じように、マジカルゲイ、つまり物語を進めるためだけに存在する同性愛者というのもあるようだ。

前述した内容の部分です。マジカルゲイというのも存在し、あーって思う作品が頭に浮かんだ人も多いのではないでしょうか。

多様性多様性と声高に叫びながら、その実、キャラクターの深みもなく、とりあえず入れとけば良いでしょ的なやつです。

大切なことはそこじゃないんじゃないかなって、個人的には思っています。

性的マイノリティについては、中学校の頃から、疑問というか、あなたは人を好きなのか? それとも性的魅力を好きなのか? 皆さんはどちらですか? と考えています。

また、あくまで自分の考えですが、性自認とか性的指向とかの前に、人を好きになった気持ちは大切にした方が良いのではないかというのが基本スタンスです。

人は物事を分けて分類することで、理解すると言われています。

なので、性的マイノリティについても、分類することで理解し、理解することで不安を取り除こうとしているのかなと。

ただ、それは本質的には、違うんじゃないかなと個人的には思っているという話。

そもそも、性別などの前に、人として、その人をちゃんと認識する必要があるのでは?ということでもあります。

そこが出発点なんじゃないかなあって。

男性だから、女性だから、性的マイノリティだから、ではなくて、まずは人間としてという話。

差別する側にとって都合よく作られた人格

マジカルニグロは白人しか助けない。マジカルゲイはヘテロセクシュアルしか助けない。そして、マジカルグランマは健康な若者しか助けない。なぜなら、差別する側にとって都合よく作られた人格だからだ。つまり、自分と似たような立場の誰かと助け合うことで、この世界が押し付けてくる規範に抗うことはできるのではないか。

これも前述の話に続きますが、映画やドラマなどで、とりあえず多様性的なことのために入れられたキャラクターって、都合の良く作られた人格というのは、何となく察してしまうところがありますよね。

最近観たドラマでも、レズビアンのキャラクターが出てきましたが、そこに至る背景などはガッツリ削除されていて、とりあえずレズビアンです的な出方でした。

まさにバランス調整的な感じ。

で、差別を助長しないようにという配慮に見えて、逆に差別しているというか。

まあ、このあたりは難しい問題かなと。

ちなみに本編では、別に差別についてガッツリ考えるような内容ではなく楽しく読めます。

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