評価・レビュー
☆4/5
日本の戦国時代に活躍した織田信長と政略結婚で信長に嫁いだ濃姫(帰蝶)の関係を主軸にした愛の物語。織田信長に木村拓哉さん、濃姫に綾瀬はるかさん。
濃姫については文献が少ないらしく謎に包まれていることもあり、大胆に想像した濃姫の姿を描いている点や本能寺の変の解釈も個人的には結構好きな感じで楽しむことができました。
ただ、全体的にちょっとぶつ切り感や説明不足感が否めず、どんな人に観てほしいのかがわかりにくい印象です。そのため評価が結構分かれそうな感じ。
戦ものではない
日本の戦国時代といえば、やはり戦かなあと個人的には思います。しかし本作はちゃんばら的なシーンはありますが、戦のシーンはほとんど無いので、戦ものではありません。
桶狭間なども戦前と戦後しか描かれないので、戦にワクワクする方だとちょっと拍子抜けするかなあと思いました。
戦的なところで言えば、比叡山延暦寺のエピソードはありますが、全員がバラバラに戦っているので、統率が全く取れておらず、抗争的な感じで戦感はありません。
ぶつ切り感が強い
個人的に一番感じたのはシーンのぶつ切り感。場面が変わってxx年と表示は出るものの、急に数年経ちいろいろな出来事が終わった後の話になっていて、かなりすっ飛ばしています。織田信長の歴史を知っていないと何が起きたのがわかりにくい印象です。
なので織田信長の歴史知識が無いと、織田信長の強さというか、どうして急に性格が冷たくなったのか意味不明かなと。劇中でも心は無いみたいなセリフがありますが、そこに至る経緯は一切描かれていません。織田信長の歴史を知らない人が見たら、何か急に性格が変わった的な唐突感はあるかなと思いました。
誰がターゲット層なのかわかりにくい
という感じで、戦ものが好きな人はターゲット層では無いですし、織田信長をある程度知っていないと話についていけないことがあり、ある程度歴史知識がある人がターゲット層ではあると思います。かと言って、名場面的なものはすべてすっ飛ばしているので、歴史好き向けでもないんですよね。
またテーマが恋愛ということなので、10代から30代ぐらいまでの女性向けなのかなと思いますが、織田信長にそこまで興味があるとは思えないですし、主演の二人を考えるとターゲット層はもう少し年齢層が高いんだろうなあと。
そうなると、程度歴史知識のある40代女性をターゲットにした純愛作品という感じなのかも。自分は40代男性なので、ターゲット層じゃないから観ていて一番わかりにくい理由なのかなと思いました。
ネタバレあり感想
以下はちょいネタバレありの感想です。
信長よりも濃姫にフォーカス
本作は濃姫がかなり活躍する映画になっています。桶狭間の戦いの頃から戦について信長にかなり深く突っ込んでアドバイスしていますし、京都への上洛を目指すシーンでも濃姫の言葉で信長は将軍を助けることを決めています。
このあたりは最近の社会的な風潮もあるかもしれませんが、個人的には面白いなと思いました。前述したように濃姫については文献が少ないので、いろいろと想像を膨らませて、大胆な仮説というか、想像というか、妄想的な感じで描くのは、個人的に嫌いではないです。感覚的にはファンタジーとかに近いかなと。例えば三国志とかもそうですよね。
伊達政宗が英語ペラペラしゃべる世界線とかが楽しめる人なら、濃姫が活躍する世界線も楽しめるのかなと思いました。
本能寺の変が起きた理由
明智光秀が本能寺の変を起こした理由についても、本作では少し変わった視点というか、考え方で描かれていて、個人的には楽しめました。
濃姫との結婚から本能寺の変までを約2時間半の中で描いているので、結構サラッと感があったので、もう少し織田信長の第六天魔王的なエピソードというか、第六天魔王になっていく姿があったら、わかりやすかったようにも思います。
このあたりは好みもあるでしょうし、いろいろな説があるので、意見はわかれそうかなと。
回想パターンの方が良かった気も
これは個人的にですが、回想パターンの方が話としてわかりやすかったんじゃないかなとか。本能寺の変が起きて炎の中で最後に思い出したというか、心残りだったのは、濃姫だった的な感じの展開。
または、濃姫が病に臥せっていて信長が看病するシーンから入って、回想というのもありますね。こっちのほうが二人にフォーカスが当たるので良いのかな。で、ラストの本能寺の変に行くという感じ。
回想パターンであれば話が飛んでいても問題ないし、二人の物語がメインであれば、戦のシーンがほとんど無いのもうなずけますし。
そんなことを個人的には思いました。