評価・レビュー
☆4/5
アメリカの宗教家で著述家 ジョセフ・マーフィーの言葉を集めたもの。「マーフィーの法則」で知られる「エドワード・A・マーフィー・ジュニア」とは別人です。
ジョセフ・マーフィーは、「引き寄せの法則」と「積極思考(アファメーション)」に相関関係があり、精神力が現実世界にも影響を与えると考えることが重要と述べています。
引き寄せの法則というと、ちょっとアレな感じもしますが、本書で取り上げられた言葉を読む限りでは、納得できることが多かったです。
例えば、
あなたがお金を非難すれば、それは羽根がはえて飛び去ってしまいます。「自分はお金が好きだ」とはっきりといい、「お金は善であり、きわめてよいものである」と宣言しなさい。
という言葉。
日本だとお金に対するネガティブな印象を持っている人が多いかもしれませんが、心の底では本当はお金が欲しいと思っている人も多いように個人的には感じています。
その心の底の思いをちゃんと表に出さないと、結局お金が逃げていくというもの。
これは確かにそうかなと。
お金を憎んでいる人に投資しようとは思いませんし、本当にお金を毛嫌いしているなら山奥にでも住んで自己研鑽につとめてもうらうのが良いでしょう。
本書ではお金にテーマが当てられているので、こういったお金に関する考え方がズバズバと書かれていて、その一方でお金に対する執着は良くないともしています。
矛盾しているように思えますが、その基本は、
お金というものは、幸福になるための手段であって、目的ではありません。
という言葉にあるような気もしました。
お金は大切なものですが、お金を目的にしてしまうとお金に逃げられてしまうという話で、これは個人的な感覚としてもあっているように思えます。
本書自体には解説などもないので、非常に分量が少なく、さらりと読めるので、気になったら手にとって見てはいかがでしょうか。
また、同じような内容の言葉が何回か出てくるので、そのあたりは本書で少し気になった点です。
以下は、引用を交えつつ個人的なメモです。
他人の幸福、富の増大を願うこと
常に他人の幸福、富の増大を願いなさい。そうすればあなたはいっそう富と友人、顧客や依頼者、驚くべき幸せな経験を自分に引きつけることになるでしょう。
言葉としては宗教っぽく聞こえますが、情けは人の為ならずなんて言葉が日本にもあるように、自分本位すぎるのは良くないという教訓として自分は捉えました。
今の自分は全然金持ちでも無いですし、収入もほとんどありませんが、ただ、若いときに比べると周囲の人の幸福を願えるようになってきていて、そのような自分の状態とマッチしているから、心に響いたのかもしれません。
もともとはあんまり他の人の動向がそこまで気にならない性格というか、恋愛はそうでもなかったですが、仕事においては自分がやりたいことをガンガン進めて行くタイプだったので、逆にやっかまれることも多かったですね。
まあ、仕事をしている自分がかっこよいと思っていたのもあって、他の人がどうこうというよりも、自分がどう見られるかの方が気になっていたというのが正しいかもしれないですが。
持ち物を褒める
持ち物はその人の価値観の現れです。 富の象徴を意味します。 だから、相手の持ち物をどんどんほめてあげましょう。
これは考え方としても面白いなと思いました。
最近の自分は、いろいろな人の良いところを見つけたら、ちゃんと言葉にして褒めるようにしています。
持ち物についても同様で、良いね!と思ったら、それをちゃんと言うようにしています。
それは単純に自分自身の中で留めておいても、その思いは伝わらないし、言葉にすることで皆の気分が良くなって、結果自分も気持ちが良いからというのが理由です。
ただ、この言葉のように、
- 持ち物はその人の価値観の現れ
- 富の象徴
という視点は斬新というか、自分には無かった視点だったので、より意識して持ち物を褒めるようにしようと思いました。
自分は最近、持ち物や服にそこまでこだわりが無くなってしまいましたが、昔はおしゃれでは無かったけれど、持ち物にこだわりはありましたし、それが価値観というのもわかる気がします。
裕福であるかのごとくふるまう
今裕福でなくても、あたかも裕福であるかのごとくふるまいなさい。 それはやがて現実になります。
人によって捉え方が異なる言葉かなと。
これを無理して物を買うとか、見栄をはると捉えることもできますが、個人的には精神的な裕福さなのかなと思いました。
品があるという言い方も、その一つなのかもしれません。
やっぱり感謝が大切
精神的であれ、物質的であれ、富がもたらされる全過程は、感謝という一語に要約することができます。あなたが感謝の心を持たないとしたら、豊かさとは縁遠いに違いありません。
これは個人的にも同意できるというか、富を得るにしろ、得られないにしろ、感謝はとても大切だと、歳をとって気づくことが多いです。
感謝については様々な人が様々な言葉で述べていますが、感謝するな!という名言は聞いたことがありません。
感謝という事自体が、典型定期な善的な行動でもあるのかなと。
ちなみに、個人的に善悪の定義をしていて、
「善とは社会の利益追求行動、悪とは個人の利益追求行動」
と考えています。
感謝とは相手が必要で、相手に利益が発生するものです。
悪を個人の利益追求行動と定義しているので、感謝という行動はどうやっても善となります。
だから、感謝するな!という行動は、どうやっても善にはなり得ないのかなというのが個人的な見解。
そう考えると、感謝するという行動は、ある意味絶対善なのかもしれないなと思ったりしました。
参考 → 善悪という怪物: それは脳で繁殖し、人を支配し、世界を破壊する – 人は善悪を使って自身を騙す | ネルログ