最強の教養 不確実性超入門 読書メモ

投稿者: | 2023年12月28日

評価・レビュー

☆3/5

ざっくりいうとランダム性とフィードバックの連鎖が原因で株価の先は読めない、つまり不確実なので、不確実性を織り込んで株をしましょうという話。

個人的には結構疑問に思ったことが多々あり、うーん?と思ってしまいました。

なので、☆3。

株価はランダム?

株価はランダムだから上がるか下がるかわからないという話だったのですが、個人的には株価を変動させる要素が多すぎて、それらすべてを数値化して計算することができないという認識。

ここで著者の方と完全に認識が違うなと感じました。

量子力学の話を例に出されていましたが、量子力学はランダムではなく確率論の話なので、そこもちょっとズレている印象です。

バタフライ効果についても取り上げていて、それはその通りなのですが、バタフライ効果があるから予測ができないわけではなく、蝶の羽ばたきを計算に入れるのが現代のコンピュータでは難しいというのが個人的な認識です。

ラプラスの悪魔ではないですが、すべての要素を計算できれば株価の予測は大暴落も含めてかなり高い精度でできると思っています。

ただ、それは現実的ではない。

なので、どの要素を省いていくか?という話が展開されるのかと思ったら、無理なので諦めましょうという感じで、ああ、そうかと思ってしまいました。

個人的には株価に影響を与える要素をパラメータとして数値化すれば、結構予測はできるんじゃないかなとは思います。

で、その予測の範囲外、つまりパラメータとして設定していない事象が発生した場合は不確実性が高くなるので、大暴落に巻き込まれにくいのではないかなとは思いました。

つまり、確度が高い時は予測に従い、確度が低い時は予測を信じないということ。ここで大切なのは信じるべきはパラメータの数値であって、人間の予測ではないということです。

そういう意味だと、最近はAIを使ったりしているので、より精度は高くなっているのかもしれません。

まあ最新の株価の読み方は知らないので、素人考えかもしれませんが。

負けない買い方にも若干疑問

最後に不確実性を織り込んだ負けない株の買い方みたいなのが紹介されていましたが、逆正弦定理のことには最低限触れて欲しかったなと。

ざっくり言えば、世の中には負け続ける人も存在するということ。

これは確率論からわかっていることです。

本書ではべき分布についてことさら強調しているのですが、であるならば逆正弦定理もまさに正規分布とは違いますし、似たような面はあるので、取り上げたほうが良いのではないかなと。

株は儲からない?

と言っても、株は儲からないわけじゃないですよね。

全体として株価は上がっていく傾向にあるので、多くの人がそれなりに利益を得ることができます。

そういう意味で資産運用として株というのはありかなと。

ただ、個人的にはあまり株をやろうという気にはなりません。

その理由は、単純に自分の力が及ぶ範囲が小さいため。

自分が何かやったことで株価に影響が出るなら、個人的には興味を持てるのですが、結局自分ができるのは予測しかなく、また本書の結論である株価は不確実性を伴うというのは、まさにその通りなので、予測は難しいでしょう。

さらに現在のコンピュータでは限界があることは確か。ましてや人間をやです。

ある意味、天気の予想に近いところはあるかなと。そこに意味を見いだせるなら、株に向いている気がします。

その点で自分はあまり向いてないなとは感じました。

ただ、これからの日本においては、サラリーマンとしてお金を稼いで退職して悠々自適な生活を送るのが難しくなっていきます。

そういう意味で、株による資産形成は大切なのも確かでしょう。

であれば、本書は自信の予測を過信しないために一読しておいた方が良い気はしました。

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