評価
☆4/5
女性遺体から見つかった紙切れに娘の名前と電話番号が書かれていた・・・というあまりにも不可思議な状態から始まるサイコスリラー。結構練り込まれていて、最後まで面白く観ることができました。オチ的も個人的に良かったです。
最終的にはそれほど複雑な話ではないのですが、状況が二転三転するのと、視聴者をミスリードさせるための見せ方もあるので、結構しっかり観てないと途中で???ってなりそうかなと思いました。
そういう意味ではちょっと観る人を選ぶ作品かも。また全体的にグロいシーンも多いので、そっち系が苦手な人は見ない方が良いと思います。
話としては
検死官のポールは女性遺体の解剖をした際に頭部に異物があることを発見する。その異物の中には小さな紙切れがあり、ポールの娘 ハンナの名前と電話番号が書かれていた。電話をしてみると娘は監禁されていて、エリックの指示に従うように指示される。エリックに電話をしたが、電話に出たのはリンダという女性でエリックはすでに死んでいることを伝えられるのだった・・・。一体何が起きているのか?
主軸になるのは検視官のポールですが、本作ではもう1人 漫画家のリンダが主人公として登場するのが特徴。つまり2つの軸で話が進んでいきます。リンダはストーカーの元彼から逃げるため、孤島に住んでいて事件に巻き込まれていくという形。この2つの視点が本作の最大の特徴かなと思いました。
原作はドイツの作家でジャーナリスト セバスチャン・フィツェック氏と検視官 マイケル・ツゥコス氏の共同執筆 Abgeschnitten。Abgeschnittenとは切り落とすという意味。ドイツではAbgeschnittenというタイトルでしたが、英語圏ではCut Offのタイトルで日本でもそのままカット/オフで公開されています。
あとこの手のジャンルって難しいですね。本作はサイコスリラーというジャンルのようですが、サスペンスも含んでいるのかなと思いますし、ミステリ的な側面もあると思います。
ネタバレ ラストの意味
本作ではインターンとしてポールの元に来たインゴルフが、その後もずっとポールと行動をともにしていきます。
終始怪しすぎるインゴルフの行動。で、ラストでポールたちと別れて一人で草むらを歩くシーン。
様々なシーンから考えられるのは、少なくともインゴルフが今回の事件に大きく関わっているという点です。そして可能性は2つ。
- レイプ監禁犯 ヤン・エリック・サドラーの被害者の恋人で復讐のために加担
- レイプ監禁犯 ヤン・エリック・サドラーを操っていた黒幕
どちらも可能性のある終わり方かなと思いました。
また、ラストでポールはヤン・エリック・サドラーの指を切ってヘリから落下させていますが、下は海のようにも思えます。そう考えると、サドラーは生きている可能性が高いです。
つまり次回作への布石なのでは?というのが個人的解釈。
なので、本作で終わりならばインゴルフは復讐のために協力した良い人、次回作があるなら黒幕だったという感じなのかなと。
もしかすると原作ではもっと明確にされているのかもしれませんが未読なので。
また、リンダのストーカー ダニーも登場していないので次回作ではそっちが主人公なのかも。それはそれで面白そうです。
気になって改めて見直したのですが、リンダと合流するシーンではインゴルフの顔が写ってないですね。リンダに懐中電灯を向けていることから、自分の顔が見えないようにしているようにも思えます。つまり、リンダとインゴルフは顔を合わせてないわけです。そう考えるとインゴルフ=ダニーの可能性もありますね。
まあ、どういう裏があるにせよ、いろいろと考える要素が多くてとても面白い映画でした。