
評価・レビュー
☆5/5
ぼくと、ケーキの好きなモグラ、無口なキツネ、力強い馬が出会って、旅をしていく物語。
と言っても、目的地があるというわけではなく、ぼくを中心に、それぞれのキャラクターとの対話がメインです。
その言葉が、かなり心に沁みます。
当たり前だけど忘れがちな、大切なことを思い出させてくれる一冊。
また、独特なタッチでありながら、優しさが伝わってくる絵柄で、それも本書の良い点だと思います。
平仮名がかなり多めなので、子どもでも読みやすいのが特徴。親子で読むのも良いです。
幅広い年齢層に刺さる良書。
以下は、本文を引用しつつ、個人的なメモ。
うまくいかないときは、ケーキをたべよう
“すきなことわざは?”とぼく。
“あるよ”とモグラ。
“なに?”
“うまくいかないときは、ケーキをたべよう”
“そっか。それでやりなおしたら、うまくいく?”
“いつもだよ”
自分の中では、かなりツボりました。
そうだよなあと。ケーキを食べれば元気になる。
とてもシンプルな理論なんだ。
たすけを求めることは、あきらめるのとはちがう
“たすけを求めることは、あきらめるのとはちがう”
馬はいった。
“あきらめないために、そうするんだ”
これもとても良い言葉だなと。
諦めないために、周りの人たちの力を借りる。
大切なのことは達成したい目的であって、自分のプライドとか、自分のエゴとか、そんなものはクソということ。
コップがあるってことが、うれしい
“コップに水がはんぶんしか入っていないと思う?
それともはんぶんも入っていると思う?”
モグラにきかれて、ぼくはこたえた。
“コップがあるってことが、うれしい”
コップに水が入っていて、それをどう捉えるか?という、よくある話なのですが、その結論が、「コップがあるってことが、うれしい」というのがとても良かったです。
この言葉を読んだとき、大事の連鎖という言葉を思い出しました。
損得じゃなくて、そもそも「あるってことが大事なんだ」という話。
そして、それが繋がっていくことで、連鎖していくことで、そもそもあることの大切さが伝わっていけば、戦争とか、むやみに人を傷つける人とかが減っていくのかもしれないなって思いました。