評価
☆5/5
ブラック校則というタイトルですが、内容としては髪の黒染め強要をテーマにした青春映画です。主人公二人を演じる佐藤勝利さんと高橋海人さんの掛け合いがよく、内容もわかりやすくて、楽しめました。多少プロットが荒いところもありますが、全体として良作だと思います。
本作は映画の内容そのものというよりも、そのテーマである
学校校則の強要はどこまで許されるのか?
が一番のポイントかなと思います。
いろいろなことを考えるきっかけになる映画として、個人的にはおすすめの映画です。
黒髪強要は正しいか?
本作はたぶん大阪府立懐風館高等学校 黒染め強要事件が元になっているのかなと思います。女性とが教師から黒髪を強要され不登校になったという事件で、
大阪地裁では
「複数の教員が原告生徒の地毛が黒色であったことを確認しており、茶色に染めた髪色を黒に戻すよう指導するのは教育的指導の範囲内」
という判決が出ています。原告側は最高裁に上告しているので、最終的な判決はこれからです。
ただ、これは個人的にですが、
髪の色によって人間の人格が決まるわけではないので、黒髪強要は良くないのではないか
と思っています。
もし、髪の色で人格が決まるのであれば、地毛が黒い髪ではない多くの外国人の方は全員人格に問題があるという話になってしまいます。
これはかなりの暴論ですよね。人権侵害も甚だしいと個人的には思っています。
ですので、個人的には髪染め自体も許容すべきという考えです。
髪の色と犯罪の関係性はあまりない
日本でも髪を染めている人が増え、結構一般的になりました。そのような方たちが明らかに犯罪の件数が多いなら別ですが、実際問題、そのような相関関係は無いでしょう。むしろ、家庭環境や教育環境などの影響の方が大きいでのではないかと個人的には思います。
また、黒髪に染めたからと言って人格が矯正されるという考え方も正しいとは思えません。これは髪型についても同様ですね。むしろ、強要されたことによるトラウマの方が大きいのではないでしょうか。
学ぶきっかけを与えるのが義務教育だと思う
学校は教育の場。その教育とは髪染めを強要することではありません。教育の本質は、知識や技術を教えることです。その根幹には学ぶことの大切さがあります。それを子どもたちに伝えるのが教育だと個人的には思っています。
正直、勉強にしても強要したところで、勉強しない人はしません。しかし、勉強が嫌いだった人でも、きっかけがあって一気に勉強することが往々にしてあります。そのきかっけを作るのが義務教育なのかなと個人的には思います。
黒髪理由を論理的に説明すべき
法律で禁止されていることは注意すべきですし、止めさせるべきでしょう。しかし、法律で禁止されていないことについて強要するのは逆に良くないのかなとも思います。
校則で黒髪にすべきであれば、
なぜ、髪を染める必要があるのか
をもっと明確に、論理的に説明すべきかなというのが個人的見解です。
余談
自分は公立高校でしたが、あまり校則が厳しい高校ではありませんでした。一応、県内では一番の進学校で東大、京大への進学者も出していますが、受験時に紫色の髪の人が合格したという伝説があるほど。
ちなみに、中学時代にいじめにあっていた自分の知人は鬼のような剃りこみを入れられて受験。受験時には剃りこみ部分をマジックで塗っていましたが(明らかに怪しいけど)、合格しました。
ぶっちゃけて言えば、成績が良くて、面接で普通に対応できれば合格できる学校です。
お酒に関する事件も多々有り、先生から指導はありましたが(当たり前ですね)、それによって退学になったりすることはありませんでした。
自分の場合はマンガを学校に持っていって友達に貸していた時期がありました。数冊というレベルではなく、数十冊持ち込んでいましたが、特に怒られませんでした。授業中にマンガを読む人はいなかったので、多くの人に分別があったからというのもあるかもしれません。
マンガ持ち込みについてはちょっと度が過ぎていたので、指導があっても良かったかなと今は思いますが、ある意味、恵まれた環境だったのかなと思います。
ですので、ブラック校則があった感じはあんまりありませんでした。
まあ、応援団というのがあって、集団で応援の仕方(歌とか下駄)とかを受けたことはありましたが、面倒くさいなと思ったのはその程度。
そういう環境で育ったこともあり、逆にブラック校則と呼ばれるものに対しては違和感しか持っていません。ですので、環境って重要かなと個人的は思っています。