評価・レビュー
☆4/5
人に幻覚を見せる力を持つ主人公 イアンが謎の組織から狙われ、自身の過去と秘密を知り、新たな力に目覚めるというお話。Amazonオリジナル作品。
いわゆる超能力もので、普通に楽しめました。
ただ、幻覚を見せるという点から、少し話が入り組んでいるというか、わざとそうしてるんですけど、最後の方は少しわかりにくいかも。
ちょいネタバレあり エステルの話
主人公と行動をともにすることになるエステルの話です。
ネタバレありなので見てない方は見てからで。
いろいろ二転三転して、最終的にエステルは父親が作り出した幻覚? それとも実在の人物?という感じで、特に明言も無いまま終わっていました。
で、何度か見返したのですが、個人的にはエステルは実在する人物の可能性が高いかなと。
ただ、どっちともとれる表現になっていて、おそらく人気が出たら続編を出して、そこでどっちのオチにもできるようにしているのかなと思われます。
まず、イアンが銃を構えるシーンですが、その1つ前のシーンでは銃を手に持っていません。ですので、銃は幻覚です。
で、その次のシーンで研究所の人が見たらエステルが見えないというシーンがあります。なので、エステルが幻覚の可能性もあります。ただ、エステルが幻覚に見えるように父親が操作している可能性があるかなと。
次に幻覚の銃ですから、銃を撃っても弾は幻覚なのでエステルに当たりません。父親に当たって血が出ていますが、それは一番最初の小売店の女性を撃った時にも血がでていたので、同じ可能性があります。いわゆる伏線ですね。
また、最後のシーンで科学者はイアンの本当の父親が死んでいると認識しています。しかし、それが実は幻覚による間違った現実の可能性もあるかなと。
というのも、イアンが捕らえられて研究所に連れてこられ科学者にビーチの幻覚を見せるシーンで、科学者は幻覚だけれどこれは現実として記憶されるみたいなことを言っていました。これが伏線。
つまり、父親が死んだという幻覚を科学者も見せられていたという可能性があるわけです。
さらに、最後のキスシーンで、車のバックミラーにはイアンしか映っていませんでした。ここからエステルが幻覚の可能性もあるのですが、キスシーンの後に二人が離れてからイアンが映っていて、そもそもバックミラーの角度としてイアンの方向しか見えないんですよね。
だからエステルが映らないのは当たり前。おそらくミスリードの仕掛けと思われます。
また、車のフロントガラスにはエステルの動きが映っていたので、たぶんエステルは実在している人物である可能性が高いかなと。
ただ、それらすべてを読者を騙すための幻覚だったみたいに、ちゃぶ台返しよろしくブチかますことも可能なので、エステルが幻覚の可能性もあります。
例えば、銃を持ってなかったのに急に次のシーンで銃を持っていたのも、銃を持っていないという幻覚を見せていたと言えるからです。
そういう意味で、どんな風にも話を展開でき、どんなどんでん返しもできる作り方だと思いました。幻覚を見せるという題材が良いんだろうなと。