評価
☆5/5
個人的に観終わった後にやられた!と感じた良作。タイムループもので、タイムループの中で同じくタイムループしている人と出会うという話。
ストーリー的には10代青春ものという感じで、すごく面白いという感じではないですが、丁寧な作りと、飽きさせないような演出もしっかりあって、クオリティは高いです。タイムループものが好きなら楽しめると思います。
また個人的に一番グッと来たのは、本作が単純なボーイミーツガールの話ではなかったという点。同じような作品はあったのかもしれませんが、個人的に初めてのオチだったので、非常に驚いたというか、上手いなと思いました(詳細は後述のネタバレあり感想で)。
原題はThe Map of Tiny Perfect Things。Amazonオリジナル作品。
話としては
マークは夜中の12時になるとその日の朝に戻ってしまうというタイムループ状態に陥っていた。同じ日を繰り返していた時、同じようにタイムループしていると思われる女性 マーガレットと出会う。マークは町の小さな奇跡を探すことでタイムループから抜け出せるのではと考え、マーガレットと一緒に小さな奇跡を探す。しかし、マーガレットはこのタイムループから抜け出したくないようだった。果たして二人はタイムリープから抜け出せるのか・・・。
ネタバレありの感想
本作のキモというか、個人的に非常に良かった点は、ボーイ・ミーツ・ガールではなく、ガール・ミーツ・ボーイであったこと。
実際にマークがこれは彼女の物語なんだというセリフがあります。つまり主人公はマーガレットであり、マークは脇役だったということです。
ずっとマーク視点で話は進んでいましたが、実はずっと脇役の人を見せられていたというオチ。主役がいつも男ってことじゃないんだよという意図があるのかもしれませんし、単純にどんでん返し的な感じなのかもしれません。
話を振り返ってみるとマークは父親とのコミュニケーションがうまくいっていなかったり、進学の問題があったりするのですが、映画の主題となるような大きな悩み的なものはなく、またタイムループに陥るようなきっけとなる事件も語られません。だって脇役ですから。つまりマークはただただ巻き込まれただけという(笑)
前半のマーク部分が淡々としているというか、話に感情を揺さぶるような大きな起伏がそれほど無いのも彼が脇役だから当然と言えます。そしてそれが主人公はマーガレットだったという大きな前フリになっているわけです。
改めて考えてみると、物語の中でちょこちょこマーガレットが主人公なのでは?と思わせるようなシーンがあります。
例えば車を運転しているのはマーガレットですし(たぶん主導権はマーガレットにあるという表現)、犬を探すなんてミッションはまさにこの手の主人公がやりそうなこと(マトリックスのうさぎ的なやつ)。
そしてタイムループの謎を解くのもマーガレット自身で1人で解明してますよね。マークは奇跡を見つけるというヒントを与える役割なわけです。いやあ、よく考えられてますね。
感覚的にはシックスセンスなんかにも通じるところがあるなあと個人的には思いました。素晴らしい映画です。