没入型インスタレーション「PARALLEL TUMMY CLINIC 」に行ってきた

投稿者: | 2025年6月27日

東銀座の駅と築地駅の間ぐらいにある、レンタルスペース SHUTLで開催された「SHUTLプロデュース 長谷川愛 没入型インスタレーション「PARALLEL TUMMY CLINIC 」コラボレーター:山田由梨」に行ってきました。

テーマは人工子宮、人工妊娠。

今から50年後、誰もが人工子宮で妊娠できる時代に、高齢者となった自分が、クリニックに相談に行くという設定です。

2つの映像による疑似体験と、将来の状況を想定したロールプレイの映像、年表などが主なコンテンツ。

また、AIとの対話も用意されていて、少しだけ未来感を楽しめるかなと思います。

日本は今後人口が減少していくことは間違いなく、子どもを増やなければ、国として衰退していくことが確定的です。

では、どうやって子どもを増やすのか?

その答えの1つが、言ってしまえば、人工子宮による人工妊娠というわけ。

世界観としては、引き続き高齢化社会になっていて、若者はお金も時間もなく子育てがしにくいため、お金と時間に余裕がある高齢者が子育てするみたいな感じ。

しかし、高齢になると子育て自体の負担がかなり大きいのも事実。

実際に自分が高齢者になった想定で、果たして本当に子どもを産み、育てていけるのだろうか?というのが問いなのかなと。

個人的には高齢者で子どもを育てている方を知っていますが、一度子育てをした経験がある方とはいえ、やはり大変そうではありました。

子どもは中学生ぐらいまでは、何だかなんだと甘えたいという感覚が強いと思っています。

いわゆる反抗期が来るまでは、親と距離ができすぎると不安になるというか。

個人差はあると思いますが。

なので、単純に子育てをはじめる時期は大丈夫でも、子どもが成長していくにしたがって、子どもたちの要望に答えきれないことも多いだろうなと。

本展示では、そのあたりの話がロールプレイの動画で出てきていました。

具体的には、子どもが若いお父さんとお母さんを欲して、レンタル両親を使うという感じ。

未来の想定ですが、レンタル両親的なものって、意外と良いかも知れないなと思ったり。

また、育児については、個人的にコミュニティ全体で行う方向にいかないと厳しいのかなとも思っています。

シェア育児的な。

その理由として、育児の負担を親だけで行うのに限界があるからです。

テクノロジーの発展によって、様々な電化製品が生まれ、育児以外の部分の負担は大きく減っています。

しかし、個人的にそれらの負担って、減ったところで育児がしやすくなるわけではないかなと考えています。

いやいや、育児に割ける時間が増えているのだから、育児が楽になっているのでは?と思われるかもしれません。

でも、育児の本質って、子どもとの人間関係ではないでしょうか?

そこが一番のストレスというか。

例えば仕事。

テクノロジーの発展によって、どんどん仕事が効率化されていきました。

また、労働基準法などの整備によって、昔ほどブラックな働き方をする人は減っているように思います。

しかし、仕事の本質というか、仕事の問題って、人間関係ですよね。

テクノロジーが発展したことで便利になったとて、仕事のストレスは多少軽減されていたとしても、本質が人間関係だから、結果として大変さはほとんど変わらないという話。

いやむしろ、昔に比べると考えなければいけないことが増えた分、ストレスが増えているかも。

育児も同じだと個人的に思っています。

だから、人工子宮による人工妊娠ができるようになったとて、子育ての本質部分は変わらず、高齢になったことで様々な能力が落ちた人間にとっては、そのストレスはかなり大きいのかなと。

体力がすべてではないですが、やはり体力的な衰えも、子育てには大きな影響があると思います。

なので、人工子宮、人工妊娠ができるようになったとて、高齢者が率先して子育てをするのか?と言われると、疑問があるように思いました。

というか、本展示では、そういうことを考えるきっかけを作るものなので、その点ではとても素晴らしいコンセプトだなと。

一方で、少し自分が期待しすぎていたところもあって、若干、展示については物足りなさを感じてしまいました。

まあまあ、あくまで個人のプロデュース作品ではあるので、行く方がいれば、寛容な気持ちで見ていただければなと。

そうだ、人工子宮によるメリットというか、女性が妊娠をしなくて良くなるという社会は、それはそれでとても良いかなと。

もちろん、妊娠したい方もいると思うので、それを否定するものではありません。

ただ、人工子宮よる人工妊娠であれば、仕事を途中で休む必要はなくなりますし、出産によって失うものも無くなります。

ですので、生物学的な女性の人生の幅を広げることとや、リスクを大きく低減でき、選択肢が増えるのは良いことのように思います。

また、男性であっても、生物学的な女性に頼らずに子どもを持てるというのも大きなメリットでしょう。

そんなことをぼんやりと思いました。


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