評価・レビュー
☆4/5
帝都テレビの報道番組「アフタヌーンJAPAN」は不祥事が続き、番組終了の噂が流れる中、新人報道記者 朝倉多香美(新木優子)と先輩記者 里谷太一(池内博之)が、起死回生のために報道協定を無視して、スクープをゲットする。朝倉は自身の過去の経験から、犯人を見つけるために事件をさらに追い、犯行をほのめかす証言を盗聴で得て、それを「アフタヌーンJAPAN」で報道するのだが・・・。
という感じのストーリー。
テーマとしては、メディアのヤラセと誤報、そして報道記者のあり方みたいな感じかな。
また、ラストの落とし所は非常に良かったです。
あんまり書いてしまうと、面白みがなくなってしまうので、詳しくは後述しますが、意外な展開を楽しみたいならおすすめ。
WOWOW制作のドラマですが、アマプラに追加されていたので視聴。
最近、WOWOWのドラマを結構見てるのですが、全体的に地上波のドラマよりも練り込みがされていて、良作が多い印象です。
地上波が悪いということはなくて、適当に流し見するぐらいなら、地上波のドラマの方が良いかなって感じ。
以下ネタバレありの感想
この手の報道の話ではよくあるパターンなのですが、本作でも同様に政治家の関与によって、事件が潰されるという話が出てきます。
メディアに対して、それほど力のある政治家って、実際にどのぐらいいるのだろうか?というのが、個人的な疑問。
岸田総理の息子さんだって、あれだけ叩かれていたのに、総理より権力のある政治家って、数えるほどしかいないんじゃないかなとか。
実際には、政治家の圧力よりも、スポンサーからの圧力の方が多いし、現実的かなとは個人的に思っています。
というか、自分も昔、小さなWebメディアで働いていたことがありましたが、大企業から圧力がかかったことがありましたし。
ジャニーズの件でも、事件が明るみに出て大きくなってから、マスコミも取り上げ始めました。
ジャニーズの場合はスポンサーではないですが、ジャニーズのタレントが使えなくなると、番組が作れなくなるというのが報道しなかった理由です。
じゃあ、政治家は?というと、政治家に嫌われたとて、別にテレビ局が困ることって無いですよね。
そのあたりが、若干気になったかなと。
報道のあり方みたいなことがテーマだっただけに、スポンサー絡みとか、ジャニーズのような番組制作に関わるところからの圧力的な話の方が、リアリティがある気がしました。
まあ、そういうことを描いてしまうと、そもそもスポンサーの印象が悪くなるからだとは思いますし、政治家なら悪く言っても反論が無いというのもあるかなと。
つまり、何が言いたかったかというと、報道の正義的な話なのに、核心部分はしっかり避けているという話。
全体の話には大きく関わることではないのですが、結局核心部分を避けているから、マスコミのヤラセや誤報というテーマの本質部分がぼんやりしてしまった感じなのです。
民放の報道記者が立ち向かわなければいけないのは、スポンサーとか番組制作に関わる圧力ということ。
それが報道記者、ジャーナリストとしての正義かなと個人的には思っています。
真実を追求するというのは、当たり前のことであって、驚愕の真実があって、そこにたどり着いたからOKって話ではないんじゃないかなって。
それは探偵とかがする役割のような気がしています。
あと、キャストの時点で、ちょっと真犯人がわかってしまったのは、もったいなかったかなとか。
開始早々、ああ、きっとこの人が真犯人なんだろうなと思ったら、その通りでした。
ただ、そこに続くエピソードがあって、実は被害者が助けを求めていたのに、それを無視していたというオチは秀逸。
なので、ストーリーとしてはとても良かったです。その点では☆5。
☆4かなと思ってしまったのは、やはりこのテーマにするなら、リアルなド直球の方が良かったんじゃないかなという点です。