評価
☆5/5
ツインフレーム・ユニバースというSNSを使ったカルト組織のドキュメンタリー作品。Amazonオリジナル作品。ツインフレーム・ユニバースはNetflixでも取り上げられています。原題はDesperately Seeking Soulmate: Escaping Twin Flames Universe。
そもそもの発端は、ジェフとシャレイアという二人がツインフレーム(ソウルメイトみたいなもの)だったというところからはじまり、みんなもツインフレームになろうというSNSのグループを立ち上げたこと。
で、ジェフとシャレイアのようにツインフレームを見つけたい人たちが集まっていき、二人が教祖的なポジションに。
月額課金や講習ビデオ、レクチャーライブなどで収益を稼ぎ、同じようにツインフレームになった人を講師にしてさらに信者を増やしていくというシステムです。
それが段々と暴走してきて、神の話が出てきたりしたあたりから、カルトっぽくなったという感じ。
まあ、そもそも論として、ツインフレームという概念自体が怪しさ満点なのですが、スピリチュアルなものを信じている人たちをターゲットにしているので、そこに気づかないわけです。
ただ、これは外側から冷静に見れているからであって、当事者だと気づきにくいのかも知れないなと。
内容としては☆5。様々な示唆があって素晴らしいドキュメンタリーでした。
けれども、本作を面白いと感じる人は少なそうな気がします。ただのスピリチュアル系カルトの話として捉えると、確かにあんまり面白みはないので。
後述しますが、個人的にはオンラインサロンに近いものを感じたこともあって、かなり興味深く見れました。
孤独という世界中に広まったパンデミック
個人的に作中で非常に的を射ているなと思ったセリフがあって、
ツインフレームがつけ込んだのは、孤独という世界中に広まったパンデミックよ
ソウルメイトを求めて ~SNSに潜むカルト~
という元メンバーの方の言葉です。
これは厄介な問題というか、ぶっちゃけ防ぎようがないなという気がしました。
自分は結構一人でいるのが好きというか、それほど苦ではないのですが、それでもたまに人恋しくなることがあります。
そういう瞬間に、それを埋める何かに出会ってしまったら、ハマってしまう可能性はあるだろうなと。
人は人生に意味を求める
もう1つ、鋭い指摘があって、それはツインフレーム・ユニバースの取材をしたジャーナリスト アリス・ハインズの言葉です。
スピリチュアルは資格不要の手軽なビジネスよ。米国では従来の宗教が力を失っている。でも人は人生に意味を求めるし、超越的ななにかに答えを求めるの
ソウルメイトを求めて ~SNSに潜むカルト~
これもね、人間の性というか、業というか、多くの人間が逃れられないことだろうなと。
また、従来の宗教が力を失っているというのも、新しいスピリチュアルビジネスを生む土壌になっているのは、ある意味、良いことなのか、悪いことなのか。
少なくともスピリチュアル系については、日本でも未だにあるていどの市場があるので、本作のような話は有り得そうだなという気がしています。
オンラインサロンビジネスにも近いものを感じる
個人的にこのドキュメンタリーを見て最初に感じたのは、オンラインサロンビジネス。
ある意味、教祖的な立場の人がいて、そこに人が群がっています。
その目的は何か?というと、正直よくわかりません。
当然、中にはちゃんとしたものもあるでしょう。ここで言うちゃんとしたものというのは、費用に対して明確な対価があるもの。
でも、多くのオンラインサロンって、明確な対価が無いですよね。
まあ、幸福感? 優越感? 自己満足感?
表現が難しいですけど、やってることってツインフレーム・ユニバースとそれほど違いは無いかなと。
で、教祖的な立場の人が、その空間では神に近いので、その感覚でコミュニティ外で発言すると、炎上しちゃう的な。
自由な発言を許されていると言いながらも、教祖的な立場の人に反する人は弾かれるわけで、そうなってくるとやっぱりカルト感あるなと。
なので、ツインフレーム・ユニバースを嗤うのは簡単だけど、実際多くの人がそういうものに毒されてしまっているんだろうなとは思いました。
リンク
- Desperately Seeking Soulmate: Escaping Twin Flames Universe – Wikipedia
- ドキュメンタリーレビューまとめ | ネルログ
- ソウルメイトを求めて ~SNSに潜むカルト~