評価
☆5/5
映画としての出来も大変良いのですが、韓国の歴史を知るきっかけにも良い映画だと思います。
話としては、
1980年代、軍部によって支配されていた韓国において、弁護士をしていたソン・ウソク(ソン・ガンホ)は、若かりし頃に世話になった飲食店の息子ジヌ(イム・シワン)が、国家保安法違反で逮捕される。ソン・ウソクはジヌが無実であると確信し、ジヌの弁護を務めるのだが、様々な圧力によって苦戦を強いられる。ウソクはジヌを救うことができるのか?
という感じ。
本作は韓国では大ヒットをしており、2014年に公開後、平日の3日間で100万人、1ヶ月間で1000万人を動員しています。
弁護士ものとして観ても普通に面白いのですが、本作品を語る上で知っておきたいことがあります。それは、本作は実話が元になっており主人公 ソン・ウソクは故・盧武鉉大統領がモデルという点です。
故・元盧武鉉大統領といえば、韓国で絶大な人気を誇った大統領で、退任後投身自殺により亡くなっています。
本作のエンディングでは民主化運動に傾倒するウソクが描かれていますが、まさにその後の姿を意識した作りというわけです。
故・元盧武鉉大統領は就任当初「未来志向」を謳い「私たちはいつまでも過去の足かせに囚われているわけにはいかない」と主張しており反日ではありませんでしたが、様々な要因から反日へ傾倒していきます。そして、大統領退任後の2008年、収賄容疑によって側近や秘書官などが逮捕され、2009年に投身自殺をします。
自殺の2ヶ月前には「政治、するな。得られるものに比べ失わなければならない事のほうがはるかに大きいから。」「大統領になろうとしたことは間違いだった」という後悔の念を文書として残しています。
他にも様々な故・元盧武鉉大統領についての情報があるので、それらを読んだ上で本作の正義を貫く弁護士 ウソクの姿と重ねてみると、かなり感慨深いものがありますね。
映画を観る前でも観た後でもかまわないので、ぜひ故・元盧武鉉大統領についての文献を読んでほしいなと思います。
個人的には本作を見て、なぜ故・元盧武鉉大統領が人気があるのかがわかる気がしましたし、大統領時代に彼が取った行動についても少し納得できました。また彼の心の中の葛藤も少し感じることができた気がします。