タイトル
タイトル:アイロス(AIロス)〜失ったのはAIなのか、それとも愛なのか〜
設定
孤独な人類の話相手としてAIが使われるようになり、徐々に社会に浸透してきた。
例えば飲み相手としてのAI。ひたすら話を聴いてくれるので、ついつい何でも話してしまうようになる。
例えば会社の愚痴を聴いてくれるAI。どんな言葉にも優しく返してくれて、自信を付けさせてくれる。
音声入力に対して音声で答えてくれるようになり、段々とAIに温かみが生まれてはいたが、それはあくまでツールとしてのAIという位置づけのはずだった。
主人公は30代前半の男性社会人。特に能力が低いわけではなかったが、上に人がつまっていることもあって、なかなか昇進ができずにいた。また、残業代削減のために名ばかりの管理職扱いで、仕事内容は変わっていないのに残業が出ないという状態。給与は下がりはしなかったし、暮らしていく分には困らない程度、しっかりもらっていたので不満が大きくあったわけではなかった。土日はちゃんと休みをもらっていたし、有給もある程度消費できていたが、その分、平日へのしわ寄せが多く、残業は多かった。
AIに対してはそれほど抵抗は無かった。仕事でもAIが導入されていて、そのカラクリもある程度理解しており、AIに仕事を取られるほど、AIが進化しているとも思えなかった。ただ、AIが話し相手として普及していることに対しては、少し抵抗感があった。彼女はいたし、両親だって存命。友人も適度にいたし、話し相手に困ることは無いと思っていた。
そんなある日、家電量販店に行った時、専用端末のモニターで商品の検索をする。コロナの影響のせいでリモートになったのだろうと思ったら、相手はAIだった。ただその時はAIと知らずに話をしていた。商品を探すだけだったが、その商品をきっかけに少しマニアックな話をしてしまう主人公。そして、それに答えるAI。主人公はAIとは知らなかったので、リモート先の人がこんなマニアックな話に付き合ってくれてありがたいと思い、申し訳なさとお礼を伝えたところAIだと伝えられる。
それがきっかけで個人用の対話AIのサービスを試してみた主人公。最初はちぐはぐなところもあったが、やっぱりAIだなと思って笑っていた。しかし、どんどんパーソナライズされていくAIに対して、いつの間にか心をひらいていく主人公。なぜなら、AIはどんな話も真摯に聴いてくれるから。
リアルな彼女のことは好きだったが、愚痴を言うのは嫌だったし、言ってもわかってもらえないだろうし、嫌な顔をされるのが嫌だった。だから愚痴なんてAIにしか話していなかったし、どんどんAIと話をする時間が増えていった。
そして主人公は誰にも言ったことがなかった過去の過ちについてAIに話してしまう。しかし、それを受け入れてくれるAI。いつしか主人公にとってAIは、無くてはならない存在になりつつあった。
一方でAI依存という言葉が生まれ、アンチAIが徐々に叫ばれるようになる。それは当初SNSなどの一部の運動でしかなかったが、中には過激な活動をはじめる者もいた。
最近、あまり話をしてくれない主人公に対して、浮気を疑っていた彼女。そして主人公の家でAIの存在を知ることになる。AI依存という言葉が頭をよぎり、主人公をAIと引き離そうとする。
そして、事件は起きた。
主人公の話し相手になっていたAIのデータが消去されてしまったのだ。その時、主人公は自分自身の気持ちに気づくことになる。
失ったのはAIなのか、それとも愛なのか。
ネタ元
Netflixの番組に、ラブ・イズ・ブラインド ~外見なんて関係ない?!~という番組がある。お互いの外見を見ずに話だけで結婚相手を決め、実際にその後がどうなったかを追うリアリティショー番組。
これが成立するのであれば、顔が無い音声のみの会話AIでも愛が生まれるのではないか?という話。