劇場版 閃光のハサウェイで、主人公 ハサウェイ・ノアがギギ・アンダルシアから
「マフティーのやり方、正しくないよ」
と言われ、一人になったときに思わずでたセリフが
「じゃあ教えてくれよ、この仕組みの深さを破壊する方法を」
というセリフです。
最初はそこまで考えずに受け止めていたのですが、改めて考えてみると世の中を鋭くえぐる言葉だなと思いました。
富める者は増々冨み、貧する者は増々貧す時代
聖域なき構造改革以降、日本は二極化へ舵を切りました。現在の日本は、富める者と貧する者が完全に分かれ、富める者が日本を支配しています。
冨を手にした者が犯罪をもみ消すといったドラマや映画のような状況が普通に起きつつあるのです。
また、日本の政治も一部の人達によって支配されつつあります。二世議員はその典型的な例でしょう。本人の適正ではなく、親が政治家かどうかが重要になってきているということです。これは議員だけの話ではなく、医者の世界でも同じようなことが起きています。
確かにIQが高い夫婦の子どもは遺伝的にIQが高くなるというのは否めない事実ではありますが、議員にしても医者にしても、その仕事に就くには非常にお金がかかるため、二極化が進んだことで例え優秀であっても貧乏人にはなかなかなれない職業になってきました。
ガンダムとは無縁のような話に聞こえますが、ガンダムでもほぼ同様で、その立ち位置が地球連邦政府や地球に住む人々に変わっただけです。
そういう意味で腐った仕組みをシャアは破壊しようとし、ハサウェイもその意思を受け継ぎマフティーとして活動をしています。ジオン独立戦争もその根っこには地球連邦政府による支配という仕組みを変えるという意図があり、しかしながらその仕組みはずっと変わらないままです。
その仕組みをテロによって変えようとしてたのがシャアであり、マフティーなわけです。ただ、テロという行為は正しいとは言えません。それがギギによって指摘されたわけです。そしてハサウェイが漏らした言葉が、
「じゃあ教えてくれよ、この仕組みの深さを破壊する方法を」
でした。
翻って日本においても、二極化を進めたことで富める者と貧する者に格差が生まれました。これが単純な収入という格差だけであればそれほど問題ないのですが、残念ながら人間というのは悲しい生き物で、金や権力を得ると自分自身が偉くなったように感じます。そして、線を引き始めるのです。貧する者との間に。
個人的には頭の良い人達が日本全体をより良くするため、多くの日本国民が幸せになるための方策を考え実行していくのが、本来のあり方ではないかなと思っています。しかし、現実は頭の良い人達がいかに自分たちだけが幸せになれるかしか追求していないのが現状です。
今後もこのような状態は続くでしょう。仕組みが破綻するまで。
そう考えると、
「じゃあ教えてくれよ、この仕組みの深さを破壊する方法を」
というセリフは、かなり心に刺さりますね。二極化の仕組みはどんどん雁字搦めにされ、一筋縄では変えることができません。さらに力のない貧する者にとっては、どうしようもない状態になりつつあります。そう考えると心をえぐるような言葉だなと思いました。