3人の生徒と先生による哲学教室開幕!平等、自由、宗教の立場から正義とは何かについて歴史を紐解きながら議論していき、現代の正義の考え方までを網羅。正義を語る上で読んでおきたい一冊。
評価
☆5/5
本書の最大特徴は物語仕立てになっていて、とても読みやすいということでしょう。そして、その上で哲学における正義の歴史をさらりと学んでしまうことができます。
正義を振りかざすことが正義とされる現代、その正義とは一体何なのか?について考えるには最適の書籍と言えるでしょう。
マイケル・サンデル先生の これからの「正義」の話をしようも面白いかったですが、正義の教室の方が圧倒的に読みやすいので、哲学の入門書としてもおすすめです。
正義とは何か?
正義の教室では、
- 平等の正義:功利主義(幸福重視)
- 自由の正義:自由主義(自由重視)
- 宗教の正義:直観主義(道徳重視)
の3つの視点から正義について語られています。そして最後の結論としてポスト構造主義の正義の答えとして、「正義について考え続けること」と述べています。このあたりはマイケル・サンデル氏と一緒ですね。なぜこのような結論に至っているのかは本書を読むとかなり面白いのでぜひ読んでみてください。
個人的に正義なんてものは存在しないという立場を取っていましたが、本書を読んでその考えは少し変わりました。
結論を言えば、正義というは人それぞれに存在しているということです。そのため、現代においても多くの人が正義を振りかざすのです。そして、お互いに正義の旗を掲げ争い合っています。
何が言いたいのかと言うと正義というのは1つではなく、それぞれに存在することをまず認識することからはじめないと、正義による争いは無くならないのかなということです。
人によって正義が異なるのは主義主張の違いというのもありますが、その根本は自分自身のアイデンティティの保護にあるのかなと個人的に感じています。自身の存在理由という言い方でも良いかもしれません。それを肯定するための論拠の1つが正義なのかなと。だからこそ人によって正義が異なるわけです。
まあ、あくまで個人的な見解ですが。