
評価・レビュー
☆5/5
梶井基次郎先生の傑作短編。
桜の樹の下には屍体が埋まっている!
これは信じていいことなんだよ。何故って、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。俺はあの美しさが信じられないので、この二三日不安だった。しかしいま、やっとわかるときが来た。桜の樹の下には屍体が埋まっている。これは信じていいことだ。
の書き出しは、圧倒的なインパクトがあります。
この文章を読んでから、春になり、桜を見るたびにこの作品を思い出してしまうので、かなり人に影響を与える作品かなと。
というか、多くの人がそう感じていると思います。
また、マンガだと、CLAMP先生のXもこのフレーズが使われていますね。
短編でサクッと読めますし、青空文庫としてもあるので、無料で読めます。
まだ未読であれば、ぜひ一読して欲しい作品。
梶井基次郎先生は、個人的にですが、全体的に暗い印象を与える文章を書くというイメージです。
その中に、独特の発想力が加わることで、梶井基次郎ワールドが作られているという感じ。
他の作品も面白く、長文の作品は少ないので、機会があれば読んでほしいなあと。
自分が学校で習ったのは、「檸檬」ですが、インパクトとしては「桜の樹の下には」の方が大きいです。
ただ、屍体という言葉の問題で、学校では取り上げにくいのかなと思っています。