最初に結論から言っておきますと、プロレスラーは強いです。マジで。
なぜプロレスラーが弱いと言われるようになったのか?
一昔前、プライドなどの総合格闘技番組が人気で全盛だった頃、プロレスラーも総合格闘技の戦いに参戦し、あまり良い成績が出ていなかったことが理由の1つです。
また、プロレスには独特の世界観があり、それを八百長だと言っている人もいます。例えば、ロープに選手を振ると選手が戻ってきます。これを八百長という人がいますが、個人的にはプロレスのルールや暗黙の了解として捉えています。その話はまた改めて。
なぜプロレスラーは総合格闘技で勝ちにくいのか?
プロレスラーとして総合格闘技で大金星をあげた選手といえば桜庭和志選手ですよね。ただ、それ以外のプロレスラーの総合格闘技での成績はあまりよくありません。
では、なぜなぜプロレスラーは総合格闘技で勝てないのでしょうか?
それは、
- ルールが違うこと
- 鍛えている筋肉が違うこと
- 経験(脳の反応)
があります。
そもそもスポーツにおいても、プロプレイヤーが異なるスポーツ競技にいきなり出ても勝てることはほとんどありません。
バスケットの神様 マイケル・ジョーダンはメジャーリーグでプレイしたことがあります。バスケでは神様だったマイケル・ジョーダンですが、メジャーリーグでは平凡な成績しか残せませんでした。神様と言われた選手であっても、異なるスポーツ競技に出れば、ルールへの慣れや使う筋肉の違い、そして経験不足(脳が反応できない)から凡庸になってしまうのです。
プロレスラーについても同様です。プロレスに慣れた選手がいきなり総合格闘技に出ても勝てないでしょう。インパクトがあった総合格闘技の試合として、新日本プロレスの永田裕志選手とミルコ・クロコップ選手の試合が印象に残っている方もいると思いますが、永田選手は数日前に対戦について猪木さんから連絡があったそうです。ほとんど準備期間も無く総合格闘技にでも勝てないですよね。当然の結果と言えます。
また、逆に総合格闘技の選手がプロレスに出てもあまり勝てないでしょう。プロレスには独特のルールと暗黙の了解があるためです。実際にプロレスの試合で総合格闘技の選手はあまり良い成績を収めていません。
桜庭和志選手はそもそもプロレスラーの中でも、総合格闘技の方向へ進んでいたUWFインターナショナルからはじまっています。そのため、総合格闘技へ参戦しやすかったのです。
プロレスと総合格闘技の違い
そもそもプロレスは相手の技を避けず、受けることが暗黙の了解の1つになっています。避けることもありますが、基本的には相手の技を受けるのが前提です。プロレスラーが頑丈と言われるのはそのためです。
プロレスの技は危険なためそもそもちゃんと技を受けて受け身を取らないと、骨折などの怪我をしてしまいます。そういう意味でもプロレスラーはしっかり相手の技を受けるのです。
受けの美学と言われることもありますが、個人的には合気道の演舞などに近い感覚があります。合気道の演武では、弟子が師匠に向かっていってバンバン飛ばされてます。わからない人から見ると、弟子が忖度しているようにも見えますが、あれは受け身を取っているのです。もし、合気道の技に無理やり対抗しようとしたら、骨折などの怪我をしてしまいます。それに近いです。
というのも、プロレスラーはプロレス技を正しく行い、受け手側も正しく受け身を取らないと怪我をしてしまいます。それほどプロレス技はダメージが大きいです。中にはプロレス中に技を受けて亡くなってしまう方もいます。それほど危険なのです。
これらの暗黙の了解は総合格闘技では有りえません。逆に言えば、技をいかにしてかけるかの攻防が総合格闘技の見どころとも言えます。
また、総合格闘技ではロープブレイクがありませんので関節技で決まることがよくあります。プロレスにはロープブレイクがあるので関節技で決まることが少ないです。
プロレスにはリング外に逃げるという手がありますが、総合格闘技にはありません。リング外に逃げるというと卑怯に思われるかもしれませんが、プロレスにはリング外での攻防というのが存在し、それは総合格闘技の選手にとっては地獄のような内容です。つまり、リング外というのはプロレスの暗黙の了解の1つと言えます。
リング外でのプロレスの攻防といえば、
- 鉄柵に相手を投げる
- マット1枚しかない地面に叩きつける
- 椅子で叩く
などがあります。
椅子で叩くとか反則じゃないかと言われますが、プロレスではそのあたりが曖昧で、確かに反則ではありますが、椅子で殴ったことで負けになることは無いので、プロレスでは当然考えうる状況なのです。このあたりのルールと言うか暗黙の了解がプロレスが八百長と思われる理由の1つかもしれません。
反則といえばプロレスには金的もあります。レフリーが見ていなければ金的から勝つこともあるのです。総合格闘技だったら絶対有りえないでしょう。レフリーが見て無ければOKというのもプロレス独特のルールというか暗黙の了解ですね。
また、プロレスでは入場シーンで相手に殴りかかるのもOKです。そのまま試合が始まることも多々あります。入場中に後ろから襲撃するなんてこともあるのです。総合格闘技で入場シーンに邪魔が入ったりしたら、ブーイングものですし、そもそも総合格闘技の選手はそんなことを想定していないでしょう。
このように挙げればキリがありませんが、プロレスには独自のルール、暗黙の了解があり、それに対応した体作りをしていますし、それに対応した動きが体に染み付いている(経験)と言えます。そんなプロレスラーがいきなり総合格闘技に出ても勝てないですし、逆に総合格闘技の選手がいきなりプロレスをしても勝てないのは当然です。
プロレスはエンタメだが、総合格闘技もエンタメ
プロレスはあくまでショーであり、エンターテイメントです。そのことを総合格闘技で勝てない理由に挙げる人もいます。
つまり、プロレスはエンタメで総合格闘技はガチだという話です。しかしながら、個人的にはどちらもエンタメだと思っています。
一番わかりやすい例は、入場シーンでの襲撃でしょう。ガチのリアルな喧嘩であれば、入場シーンだろうが、控室だろうが、会場を後にするときだろうが、常に強くなくてはいけません。しかし、総合格闘技では、言葉を悪く言えばお行儀よく入場して、お行儀よく礼をして、準備万端になってからハイ!スタート!なのです。これをガチと言われると個人的には違うかなと思います。
ですので、プロレスも総合格闘技もエンタメなのです。どちらもルールがあり、暗黙の了解があって、その上で対戦しているのです。