評価・レビュー
☆3/5
昭和プロレスファンによるプロレスギャグ漫画。主人公は生で前田日明のプロレスを見るために上京し、大学でプロレス研究会に入り、各団体が好きな個性的な部員たちと、プロレスをネタにワイのワイのする話です。
かなり昭和感は強いので、昭和プロレスが好きで、当時この漫画が好きだった人なら楽しめると思います。 逆に最近のプロレスファンだと、ついていけない部分も多いかなと。 かなり人を選ぶマンガだと思います。
自分の場合は、第3世代から新日本プロレスを観始めたということもあって、かなり温度差を感じてしまいました。
当然、それ以前のプロレスの知識はありますし、それを賛美する気持ちもわかります。なので、それはそれでとても大切なことだなと。
ただ、今、万人におすすめできるか?と言われると、ちょっと厳しいかなと。その点で☆3というのが個人的な評価です。昭和プロレスが好きなら☆5なんだろうとは思いますが。
そういう意味では、ターゲット層にはしっかりぶっ刺さる作品なのだろうと。
あと個人的にKindle Unlimitedに加入して読んだので、それも評価に影響しているかなと。
気になった点
個人的に本作を読んでちょっと気になったのは、プロレスファンというか、マニア特有の価値観がかなり強いなといういう点。
最近では撮り鉄が、ルールを無視したり、電車を止めるなどして様々な事件を起こしていますが、感覚的にはそういうノリに近いなと。
で、これはマンガだから良いのですが、結構マニアックなプロレスファンの方の中には、これが普通だと思っている人もいるんですよね。そのあたりを思い出してしまったこともあって、笑えなかったというのもあります。
このあたりの感覚はマニアの方たちに、どうやって伝えても伝わらず、まさにそれが本作の内容にも出ていて、それがマニアが嫌われる理由でもあるんですよね。
マニアが業界を潰すという言葉がありますが、まさにその通りで、結果としてプロレスは一時斜陽のジャンルになります。業界1位の新日本プロレスが身売りしてユークスやブシロードの子会社にならざるを得なくなったほど。結果としてブシロードの子会社になったことは良かったのですが。
PRIDEなどの格闘技の影響が〜〜と言われることが多いですが、現在はプロレスの方が隆盛になりつつあり、格闘技が斜陽のジャンルになりつつありますよね。だから、ガチだから面白いというわけではありません。
実際に新日本プロレスが再び復活してきた背景には、ブシロードのマーケティング戦略が大きかったと言われています。これまでマニアに向けていたものを、一般の人に向けて発信したことが大きかったことは間違い無いです。プ女子という言葉も生まれ、女性のプロレスファンも増えました。
もちろん、ガチの女性プロレスファンもいますが、その多くはライトでカジュアルなプロレスファン。そのようなファンに支えられているのが今のプロレスなんですよね。
で、それは落ち目になる前のプロレスも一緒だったのですが、やはりマニアなファンがライトでカジュアルなファンを駆逐したことで、結果マニアしか残らず、新日本プロレスが無くなる可能性すらあったなと。
そこまで言い切れるのは、本マンガのプロレスファンの言動や行動です。本作からはすべての思いを注がなければファンではないという主張がヒシヒシと伝わってきます。それが大きな壁を作ったことは間違いないだろうなと。
個人的にはマニアックなファンにしろ、ライトでカジュアルなファンにしろ、多くの人がプロレスを好きになってくれて、プロレスを楽しんでくれるのが一番だと思っています。xxをしないからファンじゃないというのは、やっぱり違うかなと。
そんなことを感じました。