
SPY×BANKERに続いて最後は、Swing。
紹介文
緑豊かな自然の箱庭に暮らすふたりの男女。あわい光とかろやかな風に彩られる日々の中、彼女はやがて風となり、彼はその風に祈りを奏で続ける。優しい愛と穏やかな喪失を描く、静謐な幻想譜。
BCCKS / ブックス – 『Swing』(著)炫 (編)菅谷聡 (表紙デザイン)こじろう著
感想
ざっくり言えば、ピアノを介した男女の物語。
とりあえず、読み始めたときに、めちゃく違和感がありました。
違和感というか、うーん、これ、大丈夫?って感じ。
ところが、あー、そういうことか!と気づいて、非常に挑戦的な作品だなと思いました。
これは推敲するのが大変だったんじゃないかなと。
以下は、少しネタバレになるので、先に本作を読んでほしいな。
具体的に言うと、本作、女性パートは「ですます調」、男性パートは「だである調」になっています。
これが、最初気づかないと、何だこの文章?ってなるわけです。
混ぜる書き方もあるにはあるのですが、本作では、それを明確に役割として分けているのが興味深い点。
ある程度まとまってパート分けされているとはいえ、推敲の際に結構混乱しそうだなと。
言い回しは結構考えないといけないので、著者の語彙力や表現力が問われます。
実際、ちょっと苦労しているなあと感じる点もあったので。
ただ、「ですます調」「だである調」に気づいたら、個人的にちょっとその点が気になりすぎて、物語が少し入って来にくかったというのはありました。
このあたりは、自分が校正の仕事も昔していたことがあったので、クセというか、気になってしまうんですよね。
あと、表記ゆれとかも。
今回読んだNovelJamの作品では、あまりそこは突っ込まなかったのですが。
また、本作はピアノが出てきて、リズムに関するエピソードがあり、そこも個人的にはあまり考えたことが無かった視点だったので面白く読めました。
何にせよ、ギミックによるパンチ力はかなりあったなと思います。