#NovelJam2025 ふな一箸二箸 – ネイピア数という着眼点が面白い

投稿者: | 2025年10月23日
株式会社地獄 移住課 ¥259(ジゴク)で販売中

七日目の希望に続いて、少し変わったタイトルだなと思ったふな一箸二箸を読む。

紹介文

家族の思い出は、しょっぱくて酸っぱい鮒寿司の味。家を出た兄、亡き祖母と父との記憶がそこにある。引っ越しの前夜、僕はすべての記憶を味わい尽くす。ネイピア数100桁が紡ぐ不思議で切ない一夜の旅立ちの物語。

BCCKS / ブックス – 『ふな一箸二箸』(著)610 (編)菅谷聡 (表紙デザイン)こじろう著

感想

本作は、地元を旅立つ主人公が祖母や父、兄などの思い出を語っていく物語なのですが、ちょっと変わったギミックがあります。

それは、ネイピア数が題材になっている点。

ネイピア数とは、確か高校の数学とかで習います。対数って覚えてますかね。それの「e」という記号のことです。

で、そのネイピア数を覚える語呂合わせがあり、それを物語として仕上げたという作品です。

「エッチでリッチなケイコちゃん、ルビーせしめてフランスへ」みたいなものを、実際に物語にしてみたという感じ。

着眼点が面白く、お話も良かったです。

ただ、その面白さと引き換えに、かなり読みにくさがあります。

短編だったので読み切りやすいですが、読んでいる間は、その数字や語呂合わせが逆に気になってしまって、物語自体に集中しにくいなあと思いました。

個人的には、段落の冒頭で、数字と語呂合わせを使った方が、綺麗にまとまったのではないかなと。

というのも、語呂合わせをするために、多少強引な部分もあり、であるならば、無理にでも冒頭で使った方が、良かったのでは? と思ったからです。

時間的な制約もあるので、なかなか難しかったかと思いますが。

内容としては、著者の方の力量のおかげで良いお話にまとまっていただけに、ネイピア数が逆に足を引っ張ってしまっていて、もったいなと感じました。

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