
ふな一箸二箸に続いては、表紙が個人的に好きなつなぐ手の先にを読みました。
紹介文
喫茶店で働く島崎統吾はフィリピン人の母子と出会う。母子と交流を深めていくうちに、母子の苦しみを知ることになる。ある事件をきっかけに、初めて人のために動いた統吾の運命が大きく変わっていく。
BCCKS / ブックス – 『つなぐ手の先に』(著)一之瀬楓 (編)結城玲夏 (表紙デザイン)H-Cait著
感想
カフェで働く主人公とフィリピン人の母子の物語。
話としては、安心して読めるタイプのいわゆる水戸黄門的な感じです。
直球ストレートな感じで、題材的にも良かったと思います。
個人的に惜しいなあと思ったのは、やはり三人称視点ということ。
この物語のキモは、あくまで個人的にですが、主人公、またはフィリピン母子の心の動きだと思っています。
しかし、三人称視点だと、それが描きにくい。
どうしても、外側からの話で、登場人物たちに感情移入しにくいのかなと。
出来事を外から見ているという感じなので、ニュースを読んでいる感じというか。
そこを読者に想像で補ってもらいたいという気持ちはわかるのですが、であれば、もっと登場人物たちが喋った方が良いのかなと。
三人称視点だと場面転換もそのままなので、区切りもあった方が良かったような気がします。
一人称視点の場合だったら、登場人物の名前を小見出しにして、数字で書くというのが、一番わかりやすいです。
例えば、同じ#NovelJam2025のA CROSSROADなど。
ちなみに、読者に想像させることが悪いわけではなくて、読者に想像させる部分をある程度絞った方が良いのでは? という話です。
読者は常に文章を読みながら、頭で想像をしています。
ただ、ずっと想像し続けるのは、やはり疲れるわけです。
なので、ある程度想像させる部分をフォーカスした方が、読みやすさという点では良いのかなと思っています。
あくまで、自分が編集として関わるなら、そういう話をするかなと。
分量も限られているので、いろいろと削除したとは思いますが、個人的にはやはり、もっと登場人物たちの心情部分が読みたかったなと思いました。
終わり方の余韻は良かったのです。
もし、心の動きをもっと感じることができたら、もっと良かっただろうなと。