
NovelJam(ノベルジャム)で作成した小説『株式会社地獄 移住課』の裏話的なもの。
目次
株式会社地獄 移住課のアイデアに決まるまで
今回、テーマは当日に発表される方式で、当日に小説のアイデアを考え、プロットまで作成するというスタイルでした。
ただ、個人的に不安だったので、仕込みの小説ネタを10個ほど用意。困ったら、それにテーマを合わせて書こうかなと思っていました。
で、テーマは「移住」。
この段階で、持っていった小説のネタがどれも合いそうになく⋯⋯新たにアイデアを考えることにしました。
出てきたアイデア
出てきたアイデアは、
- 宇宙人の移住
- 地球人の移住
- 動物の移住(飼い主が移住するペット視点)
- 虫の移住(虫視点)
- 100人移住?
- カモの移住(近くの公園にカモがいたので)
- 死の移住
- 地獄の移住
- 脳内の移住(サヴァン症候群)
- マンションの移住(投票で決まる)
- 幽霊の移住(地縛霊の移住)
という感じ。
3つに絞ったアイデアのざっくり概要
編集の方と話して、面白そうで、被らなそうだなというアイデアを3つに絞りました。
- 地獄の移住
- マンションの移住(投票で決まる)
- 幽霊の移住(地縛霊の移住)
地獄の移住
今回、最終的に採用されたもの。地獄が手狭になったので閻魔様から移住を命じられるという鬼の話。
タイトルは最初の段階に出した株式会社地獄 移住課で、そのまま決まりました。
一番、話の流れがわかりやすいのと、個人的な経験も活かせるというのが採用理由です。
マンションの移住(投票で決まる)
オーナーが変わり、いきなり移住というか、引っ越しを迫られる住人の話。
また、移住する話ではなく、決められた移住先がクソみたいなところで、移住したくないので、主人公が足掻くという感じです。
全員が移住するわけではなく、抽選で決められた3人のうち1人が強制移住になり、オーナーを説得したり、他の住人の足を引っ張るという流れ。
文字数が決められているので、登場人物があまり出せないため、その点がネックということで見送り。
幽霊の移住(地縛霊の移住)
悪さをする地縛霊を、人が少ない場所に移住させる仕事をしている人の話。
ゴーストバスターではなくて、ゴーストマイグレーションって感じ。
これもネタ的には面白いなあと思ったのですが、一緒のチームの著者の方が、霊ネタだったこともあり、内容は被らないのですが、避けることにしました。
同じチーム KAINさんの小説 → 『リビング・スピリット』(著)KAIN (編)片桐蒼太(表紙)石川龍之介
ターゲット層を決める
アイデアと同時にターゲット層を決めました。ざっくりですが、
- 30〜40代サラリーマン男性
- 独身
- 本をよく読む
- 斬新なもの、新しいもの好き
- 結婚に憧れている
- でも、恋人はいない
という感じです。
ターゲット層として、斬新なものや新しいもの好きということで、少しひねった方が良いだろうということで、地獄ネタにしたというのがあります。
また、サラリーマン男性ということで、株式会社地獄の社長である閻魔様の無茶ぶりという設定が、自身の経験と重なるかなというのも、地獄ネタ採用の理由です。
ちなみに、本作は実際に自分が経験した無茶ぶりをネタにしています。
というか、設定も結構近いところがありますね(笑)
プロットはバージョン3で提出
その後、プロットの作成に入りました。
超ざっくりのものから始まり、バージョン3の段階ではオチまで決定した状態で提出。
個人的にですが、ざっくり書いた後に箇条書きにするのですが、今回はその時間が無かったので、ダイジェストの小説みたいな感じのプロットでした。
なので、セリフなども入れた状態で、2000字程度。
最低文字数が3000文字なので、この段階で最低の文字数については心配ないなと思いました。
逆に、分量が多くなるだろうなあというのがわかっていたので、できる限り執筆では横道にそれないように書くのを意識しています。
初稿はスケジュール通りだったけど
初稿提出が2日目の18時ということで、初日はプロットだけ作成して、2日目から執筆を開始。
ギリギリでしたが、2日目の18時に初稿を仕上げることができました。
普段書いているときは、プロットと小説本文は別にしているのですが、時間的な制約もあり、今回はプロットに文章を追加していくというスタイルで書くことに。
ただ、個人的に意外と書きやすくて、合っているかもとは思いました。
オチまで決まっていたので、そこに向かって伏線も貼りつつという感じ。
で、問題は文字数。
結果として、1万3000字を超えました。
翌日の10時に完成原稿を提出しなければならないのですが、流石に2日目は疲れていたこともあって、家に帰って、3時間ほど寝て、朝3時に起きて3回原稿を修正し、10時の提出に間に合わせました。
久しぶりに短い睡眠時間での作業でしたが、テンションが上がっていたこともあって、書いているときは、そこまで眠くなく、辛い感じもなったですね。
最終的に1万字ちょいでフィニッシュ。3000文字削る必要があったので、丸々1パートを削りました。
完成原稿提出後は、もはや魂が抜けた状態で、何もする気が起きず(笑)
テーマソングを作る
個人的に小説を書くときには、テーマソングをSuno AIで作って、それを聴きながら書くというスタイルにしています。
テーマソングがあると、書いているモチベが上がるのと、方向性がズレにくいというのが利点かなと。
↓が実際に作ったテーマソングです。
テーマソング自体は、2日目の朝に作成しました。ちょっと眠れなくて起きてしまったので。
作り方としては、提出したプロットをAIに喰わせて歌詞を作ってもらい、出力された歌詞を自分であれこれ修正し、Suno AIにぶっこむという感じです。
ちなみに、このエントリも聴きながら書いてます。
あと、地獄には、擦魔捕(スマホ)がある設定にしたので、着信音も作成。
ただ、最終的に小説内での着信音は、罪人の絶叫になりました(笑)
なので、挿入歌的な感じの位置づけかなと。
こちらも聴きながら、小説を書いています。
ボツネタというか、文字数の関係上削ったネタたち
3000文字削るにあたって、いろいろな設定というか、ネタを削りました。
- 鬼の労働(釜の脇で薪を焚べ続ける)はキツい話
- 鬼のストライキで青鬼が赤鬼になる話
- 閻魔様に忠誠を誓う敬礼
- 仏の顔も三度まで。りんごのすけ部長の顔は、何度でも(仏と言ってはいけない設定)
- セクシーなコンサルタントの服と肌の露出の比率が黄金比
- セクシーなコンサルタントはミスユニじごーくで、優勝している。歴代最高得点。
- メガネは、臓腑(zoofu)で購入(最終的にメガネは無し設定になる)
- 火あぶりの刑で目が悪くなり、ファイヤーライトカットレンズのメガネを使用(メガネネタは無しになった)
- この物語はフィクションです。決して、著者が働いていたブラック企業とは、関係無くはないことを、明記しておきます。(実際に自分の経験がネタなので、それを逆にネタにしたかった)
テレビはブラウン管。スカイツリーならぬ、ヒューマンツリー。罪人の絶叫で発信的な- 温めの血の池(温泉的な前フリを入れたかった)
- 足りなくなった血をペットのケルちゃんが罪人に噛みついて搾り取る的な
などなど。
他にも小ネタはいろいろとあって、泣く泣く削除しました。
これらのネタは書いている時に思いついて追加したものと、1日目の夜から2日目の執筆開始までに考えついたものをメモしたものです。
1日目の夜はあまり眠れなかったのですが、これらのネタを考えてしまっていたというのもあるかなと。
特殊な状況だったので、気持ちが高ぶっていたのだろうと思います。
そういえば、自分、コメディ書くのはじめてでした(笑)
それも、このNovelJamという特殊な環境がなせる技かもしれません。
表紙はギリギリ
今回、1日目の終わりに表紙のイメージを決めたいということだったのですが、最終的に決まらず。
2日目の朝から、いろいろと話をして、1日目のアイデアは全ボツに。
そして、2日目の確か昼ぐらいに最終的な方向性が決まりました。
いやあ、デザイナの方には、非常に大きな負担をかけてしまったなと。
ただ、最終的に出来上がった表紙は、最高でした。

石川さん、ありがとうございます!
リード文案
本の紹介リード文については、編集の方が考えてくれました。
で、自分がリード文作るんだったらこんな感じかなという案。
39歳、独身、見習い正社員、時給480円、青鬼、釜ゆでたろう。もはや真面目に働くことも馬鹿らしく、手抜き仕事に磨きをかけていたのだが、突然閻魔様こと、株式会社地獄の社長に呼び出され、移住課へ異動。しかし、部署はゆでたろう一人。絶望的無茶振りである。果たして、ゆでたろうは移住を成功させられるのか⋯⋯。
圧倒的地獄ハラスメント、略してジゴハラコメディ獄誕!
天丼方式
今回は、NovelJamの規定で文字数制限内で完結する必要がありました。
ただ、本小説は、基本的に閻魔様の無茶振りなので、そのパターンの数で、分量を調整できるというか。
小説内では、移住も含めて合計3回の無茶振りがあります。
で、その回数を増やせば、分量はいくらでも増やすことができるという。
また、一回オチてはいますが、別なオチで再度無茶振りを再開することもできる仕様です。
つまり、天丼方式というか、同じパターンで繰り返すことができるのがメリット。
これも本ネタを採用した理由の1つでもあります。
まあ、売れたらですけど(笑)