
我々人類が生き残らなければならない理由は何か?
つまり、我々の使命だ。
残念ながら、そんなものは存在しない。
もちろん、我々が独りよがりで考えたものは存在する。
生きたい、楽しみたいなど、人間の欲望。
DNAに刻まれた仕組み。
それは、あくまで個人の考えであって、人類そのものではない。
もちろん、自分が人類を体現する唯一の存在であり、発言した内容がすべて人類の同意を得たものであるなら別だが。
さらに言えば、人類の代表が滅亡を望んでいないとしても、それはこの宇宙が生まれた理由とはまったく関係ない。
そもそも宇宙創生に人類は関わっていない。
宇宙の意志があったとしても、人類はまったく関係ないのだ。
なぜなら、人類が生まれるために宇宙が生まれたというのであれば、宇宙誕生と同時に人類も誕生していないとおかしいからだ。
なぜに、100億年以上、経過してから人類が生まれたのか。
ぶっちゃけていてば、偶然の産物でしかないだろう。
宇宙全体からすれば、地球におけるワチャワチャした出来事など、取るに足らないゴミというか、ゴミ以下の出来事だろう。
人類が滅亡したからといって、宇宙が無くなるわけでもない。
だから、この宇宙において人類が滅亡してはいけない理由でもない。
知的生命体に意味があるように思えるが、別に人類以外にも知的生命体がいる可能性はあるし、これからさらに100億年経てば、知的生命体が生まれる可能性もあるだろう。
マルチバース的なことが正しければ、この宇宙にこだわる必要性もない。
他の宇宙に知的生命体がいれば、それで問題ないのではないか。
つまり、人類にこだわる必要性がない。
ということは、人類は滅亡しても問題ないのではないだろうか?
人類が滅亡すれば、そもそも嘆く人類さえいない。
個人的にそんな感じで、人類が滅亡してはいけない理由が、まったく思いつかなかった。
滅亡したとしても、宇宙全体にしてみたら、影響は皆無。
ということは、人類滅亡しても良いんじゃない?って結論になってしまう。
そもそも、なぜ、こんなことを考えたのかと言えば、先日行った哲学対話の後のお茶会的なところで、AIが暴走して人類が滅亡するかもしれないみたいな話があったため。
そもそも論として、AIが暴走しても今すぐ人類が滅亡することはない。
理由は様々あるけれど、現状のAIは、どうやっても電力が必要で、電力の共有には人類が必要だからだ。
電力がなくなれば、AIは何もすることができない。
なので、当面、AIが暴走して、AI vs 人間となったとしても、人間が負けることはない。
なんてことを思ったのだけれど、帰りの電車で、ふと、あれ?何で人類って滅亡しちゃダメなんだっけ?と思った次第。
はてさて困ったなと思っていたのですが、先日、オープンダイアローグをする機会があって、ちょうど悩んでいたというか、悶々としていたので、この話をぶっこんでみました。
ちょっとぶっこみすぎたかなとも思ったのですが、皆さんの話を聞いて、いろいろと解決というか、納得できたところがありました。
個人的に、一番スッと入ってきたのは、これまでの人類の歴史が消えてしまうことの損失という話。
まあ、悠久の時の中では、それほど問題はないのかも知れません。
ただ、自分自身、本が好きで、特に中国の古典が好きで読んでいます。
その中で、心を動かされるようなことが多々あって、ああ、確かに、そういうものがすべて無くなってしまうというのは、ちょっと嫌だなあという思いがありました。
それは前述したような、個人の独りよがり的なものであることは確かなのですが、それでも素晴らしきものを残していくというのは、意味がある気がしています。
本だけでなく、音楽やアートなどもそうですし、他にも人類は様々なものを生み出してきました。
それらを残していきたいという思いみたいなものが、結構大切かもなあと。
確かに、宇宙などの観点からすれば、それはほとんど影響のないものですし、他の知的生命体からすれば意味のないものかもしれません。
無くなったところで、人類が滅亡してしまえば、嘆くものもいないでしょう。
ただ、自分はやはり残したいなと思いました。
それが、人類が滅亡してはいけない理由なのかもなあと。
種として生き残りたいというよりも、そういう素晴らしいもの、心動かされたものを残したいという感覚の方が強い感じで、人類滅亡とはちょっと違うかもしれませんが。
という感じで、オープンダイアローグの初体験は、かなり良い感じでした。
もともとは、精神医療として始まったオープンダイアローグですが、企画とかネタとかをみんなで考えるときにも使えそうかなと。
また、余談ですが、権力者が同じような問いを持ち、人類は存在すべきではないという結論に達したら怖いなという意見もあり、
「俗物じゃなきゃ、政治家になれないのさ。いつだって、世界は思想家が壊すんだよ。」
みたいなセリフを考えつきました。