
評価・レビュー
☆5/5
以下は、うたたね読書会で、紹介するときに考えたやつ。
今回自分が紹介するのは、創元推理文庫から出ている『隅の老人の事件簿』です。
ざっくりと説明すると、ロンドンのあるカフェの隅の席にいつも座っている、一見するとただの物静かな老人が、新聞記者であるポリーをつかまえて、難解な事件の真相を鮮やかに見抜き語るという話です。
基本的に大部分は、この隅の老人が、語り続けるというスタイルになっています。
また、現場に足を運ぶこともなく、事件を解決する「安楽椅子探偵」というジャンルと言うのがあって、本作はそのはしりの1つに数えられることが多いです。
ただ、意外とこの隅の老人、アクティブなところもあって、証拠集めではないですけど、いろいろなところで情報を集めたりもしているので、純粋な安楽椅子探偵ではないので、そのあたりは賛否あります。
連作短編で、それぞれ独立した事件なので、最後の話以外は、どこから読み始めても楽しめるのが特徴です。
ただ、海外作品なのと、隅の老人がずっと喋っているだけなので、場面転換などもないため、結構淡々としているところもあるので、少し読みにくさはあるかもしれません。
人の怪談話とかを聞いている感じに近いかも。
一応、時代背景として、当時、誰もが知っているシャーロック・ホームズが爆発的に流行っていて、掲載していた『ストランド・マガジン』が人気だったそうです。
で、他の雑誌も、その人気に便乗というか、シャーロック・ホームズを超えるような作品を生み出そうとして、様々な推理小説が誕生しました。
それらを総称して、「シャーロック・ホームズのライバルたち」と言うようです。
本作、隅の老人もその中の1人に数えられています。
ちなみに、著者は、バロネス・オルツィという方で女性で「紅はこべ」という歴史ロマンスシリーズだそうです。
という感じ。
個人的には好きな作品ではありますが、昔の作品であること、海外の翻訳作品であることから、多少三日はあるかなと。
それでも、ミステリ小説の歴史に残る作品なので、ぜひ読んでいただきたい一冊です。