評価・レビュー
☆4/5
韓国のことわざや慣用句、儒学者などの言葉を100個ピックアップし、写真と解説を加えた本です。
このシリーズは個人的に好きで、インドや台湾、フランス、イタリアなどいろいろな国があります。
それぞれの国の特徴があって、文化と密接に関わっている言葉は、なかなかに興味深いです。
また写真も綺麗で雰囲気が伝わってきます。
韓国の場合は、韓国ドラマや韓国映画などが好きな人だと、あー見たことある!って風景が結構出てきて、そこも楽しめるポイントかなと。
さらっと読めるし、毎日ちょっとずつ読んでも良いですし、韓国好きならおすすめ。
以下は引用を交えた個人的なメモ。本来の意味については本書をご確認ください。
目をあけなければ深い夜中のまま
個人的に夜に関する言葉がいくつかあって、
夜明けがくることを知っても
目をあけなければ
深い夜中のままだ
韓国のことわざ
や、
夜が深くなるほど
夜明けが近づいてくる
韓国のことわざ
の言葉が良いなと思いました。
夜というのは、基本的には悪い状態の意味で、日本で言えば、明けない夜は無いみたいな言い回し。
綺麗な言葉を使おう
行くことばがきれいなら
来ることばもきれいだ
韓国のことわざ
これは訳し方の問題かもしれませんが、少し意味がわかりにくくて、端的に言えば、綺麗な言葉を発すれば、返ってくる言葉も綺麗だという意味。
綺麗な言葉を使いましょうということです。
綺麗な言葉というと上品な言葉と考えがちですが、そうではなくて口汚い罵りの言葉の対義語的なイメージで捉えると良いかなと。悪口なんかもそうですね。
つまり、ネガティブな言葉を相手にぶつければ、ネガティブな言葉が返ってくるという感じ。
まだ自分は人生を終えていませんが、人生とは人間関係であると思っていて、良い人間関係が築ければ良い人生が送れるんじゃないかなと。
これは普段の生活だけでなく、社会人として働くときも一緒かなと。
で、良い人間関係を築くには、まず自分が発する言葉に注意することが大切な気がしています。
世の中には、それでも最初から攻撃的な人というのはいて、どうしようもないことも多いです。
ただ、攻撃的な物言いに対抗して、こちらも攻撃的になってしまえば、人間関係はそこで終わってしまうでしょう。
別に、そういう人と関わりを持ちたくないから、バッサリ人間関係を切ってしまうというのも手です。
しかし、悪い印象を持たれた状態で別れてしまえば、おそらく相手はその後も悪評を振りまき続けるので、結果として他の人との人間関係にも影響がでてしまうと思います。
そういう意味でも、綺麗な言葉を使うことって大事かなと感じました。
牛歩だって進んではいる
ゆっくり進むことを恐れず
停止することを恐れよ
韓国のことわざ
牛歩とは歩みが遅いという意味で、決議を遅らせたい場合などに牛歩戦術という感じで使われることがあります。
そのため、牛歩というと悪い印象があるかなと。
ただ、この言葉では、牛歩であってもゆっくりは進んでいて、止まってしまうことの方が問題という捉え方をしています。
確かに、新しいことを始めたり、少し苦手なことをしている時って、遅々として作業が進まないことが多々ありますよね。
そんな時に、少しでも進んでいること、止まっているわけではないと認識することは、結構大切なんじゃないかなって思いました。
夜のことばはネズミが聞く
昼のことばは鳥が聞き
夜のことばはネズミが聞く
韓国のことわざ
意味合いとしては、日本語の壁に耳あり障子に目ありということだそうです。
ただ、自分としては、昼は良い時、夜は悪い時で、どんな状況であっても、話を聞いてくれる人はいるという解釈に捉えました。
というのも、
ネズミにも日に当たる日がある
韓国のことわざ
という言葉も紹介されています。
こちらは太陽が届かないネズミの巣穴を悪い状況に見立てて、そこにもいつか日が当たるという意味です。
で、ネズミを悪いと捉えると、最初の言葉は、良い状況の時は良い人達が話を聞いてくれて、悪い状況の時は悪い人たちが話を聞いてくれるという意味にも取れます。
つまり、状況が悪くなると、悪い人たちしか話を聞いてくれなくなるので、どんどんそちらの方へ足を踏み入れてしまうという感じ。
ネズミを良い意味で捉えると、どんな状況であっても話を聞いてくれる人はいるので、家族や友人たちに頼りなさいという解釈もできるかなと。
どちらにせよ、自分ひとりで抱え込むのは、あまり良くないということです。
という感じで、日本の言葉とはまた違った視点があったり、表現が面白かったりと、新たな発見がある本だと思います。