評価・レビュー
☆5/5
旧約聖書を中心に、ダビデ、ソロモン、パウロなどの言葉をまとめた本です。
超訳ということで、現代に即したような訳もあります。
古い言葉でありながら、人間の根源的な部分というか、ベースの部分という意味では通ずることが非常に多いように感じました。
そのため、どの言葉にもいろいろと考えさせられるというか、興味深く心に刺さる内容が多かったです。
また、信仰に関する部分については、神を信じるかどうかで、捉え方が大きく異なるかなと思います。
個人的には非常に良い内容だと感じました。
個人的メモ
人生は人間関係だと言ってもいい。
人とのかかわりが良好でなければ
幸せな人生はない。
だから、人との間に不和があり、
否定的な思いで満ちていれば、
平和はやってこない。
また、嘘はあなたの信頼をそこね、
偽りは人との間に不和を生じさせる。
嘘や偽りで身を固める人生に平和はない。
詩篇 34章12〜14節
人生においてというか、社会で生きていく際に、一番大切というか重要なのは人間関係だと、これまでの経験からヒシヒシと感じています。
特に嘘や偽りというのは、その場その場ではそれほど問題ないのですが、ボディブローのように徐々に効いてきて、人間関係に歪みができ、崩壊してしまうと、もはや修復不可能です。
嘘や偽りが必要な時というのもありますが、自分にとって大切な人や家族においては、嘘や偽りを無くした方が良いかなと思っています。
見栄を張るというのも、個人的には同じような感覚です。
いかなる状況にあっても、
善意によって行動することに
疲れ果ててはいけない。
失望するな。
やり続けるのだ。
時がくれば、必ず報われる。
ガラテヤ人への手紙 6章9節
偽善という言葉もあって、日本では特に昨今、善意の行動というのが、悪く捉えられてしまうこともあるのかなと思っています。
個人的には偽善でも、やらないよりやった方が良いのかなと。
このあたりは哲学的なアレなので、人それぞれの考え方もあるとは思います。
前提がどうであれ、善意というのは、個人的に世界を少しだけ優しくするものだと考えていて、皆がもう少しだけ善意の行動をすることで、少しだけ行きやすい社会になるんじゃないかなって。
最近の社会は悪意が満ちているように感じることも多いので、善意を続けることって、本当に大変だなと。
それでも、善意の行動をできる限り続けたいなとは個人的に思っています。
私は、世界中に虐げられている人たちがいるのを見た。
彼らを助ける者はなく、無数に流れる涙を見た。
そこには、弱い者たちを虐げる権力の構造があるのを見た。
私は、すでに死んでしまった人に
お祝いの言葉を贈りたいと思ったほどだ。
一番の幸せ者は、
この地上に生まれてこなかった人だとさえ思った。
この世界にはびこる悪を
一度も見たことがないのだから、なんて幸せ者なのだろうと。
私は、人が体験するあらゆる労苦と、
成し遂げられた多くの業をを見たが、
そこにあるのは、
結局のところ人間同士の妬みにすぎない。
妬む心が悪や成功の原動力なのだ。
なんと虚しいことか。
コヘレトの言葉 4章1〜4節
個人的に本書で一番心に響いた言葉です。
人間の根幹にある妬む心が、世界を社会を悪くしてしまっているかどうかについては、とりあえず置いといて、一番響いたのは、弱い者たちを虐げる権力の構造という言葉。
人類の歴史において、いつもこの構図は存在し、歴史を紐解き得る学びとしては、権力による弱者弾圧がよくある内容かなと思っています。
しかし、有史以来、何千年と経った今でさえも、ずっと同じ学びがあったにも関わらず、なぜか弱き者たちを虐げる権力は無くなりません。
これは単純に政治家だけの話ではなくて、いわゆる利権に群がる人たちも同じような感じだと思っています。
国民から集めた税金によって、特に有益な活動をしていないような組織にお金が流れたり、中抜きだけするような組織があったり、利権による癒着があったり・・・。
そういう甘い汁を吸うことが、個人的には実は悪いとは思っていなくて、楽してお金を稼ぐという意味では別に良いとも思っています。
個人的に問題だなと思っているのは、生活するのが大変な人たちもいて、その人たちにお金が回っていかない点です。
A5和牛のステーキを頬張っている横で、親のいない子どもが、ギリギリの生活を強いられ、苦しんでいるのは、どうしてなのか・・・。
昔に比べれば、そういう人たちはかなり減ったように思います。
それでもまだ行き届いていない場所というか、人もいて、そういう人に出会うたびに、自分に権力があればなと、悲しい気持ちになります。
まあ、それは自分の理想というか、独りよがりの妄想なのでしょうが、できれば、すべての子どもたちに、最低限の暮らしができ、大学に行くチャンスを与えるような国にして欲しいなと。