韓国ドラマ もうすぐ死にます – ドラマならではの手法とアマプラだからこそ実現できた傑作

投稿者: | 2024年1月10日

評価・レビュー

☆5/5

もうすぐ死にます(アマプラ)は転生をテーマにした韓国ドラマ。Amazonリジナル作品。

話としては、

就職活動に失敗し、恋人との格差ができ、何をやってもうまくいかないイジェは、すべてに絶望し高層ビルから飛び降りるのだが、自らを死そのものと言う謎の女に生かされ、12回の転生をさせられることになる。転生した人物には死の運命が近づいていて、もし生き残ることができれば、その人物として続きの人生を送れるという。イジェは転生することで、様々な人生と苦しみを経験するのだった。

みたいな感じの話。

転生ものということや、全体的に暗い雰囲気なこともあって、世にも奇妙な物語的な雰囲気があり、実際に序盤はそうなのですが、中盤以降一気に物語が変わっていきます。

そこからはノンストップで最後まで観てしまう面白さ。

個人的に映画にしろ、ドラマにしろ、小説にしろ、漫画にしろ、結構結末がすぐに読めてしまうことが多いのですが、本作はがっつりやられました。

詳しくはネタバレありで後述しますが、7話の最後までは見て欲しいドラマです。

また、これは映画では表現できないので、全8話のドラマだからこそ実現できた作品でもあるかなと。

その点も本作が素晴らしいところだと思います。

アマプラを契約しているなら、ぜひ見て欲しい一作。個人的にはAmazonオリジナル作品の中でも現状でトップ5に入るドラマだと思います。傑作。

ネタバレありの感想

以下は、ネタバレありの感想になるので、まだドラマを見ていない方は読まない方が良いです。

まったく面白く無くなってしまうので。

本ドラマは、ドラマという長い時間を使えることをうまく利用したトリックというか、先入観をうまく読者に与えて、どんでん返しにもっていく作品になっています。

それが、7話の最後のシーンです。

もっとも苦しい地獄を味わうと言われ、転生した先は母親でした。

このシーンを見た時に自分が最初に思ったのは、ハサミ男という小説。

ハサミ男を知らないのであれば、以下は読まない方が良いです。ハサミ男の面白さが半減するので。

で、ハサミ男という小説では、タイトルに男と入れることで、読者に犯人は男のように勘違いさせるという手法が取られています。

ハサミ男を最初に読んだ時は本当に衝撃でやられたと思いました。

そして本ドラマでも同じようなことが行われいます。

それは7話の最後まで主人公のイジェが転生した人物は全員男という点。

男性が男性に転生するという違和感の無さで、最後もてっきり男性に転生すると思わせているわけです。

そして、ミスリードとして、テウが生きているシーンが何度か挿入されています。

私は7話の最後を見るまで、最後はてっきりテウに転生すると思っていました。

まさにしてやられたわけです。久々にやられたー!って思いました。

これが映画だったら最後は母親というのは結構気づきやすいんですよね。そういう伏線も貼られていますし。

ただ、7話の最後までの約7時間、全部男性に転生しているわけですから、しっかりこの時間を使って脳に刷り込ませているわけです。

これはドラマじゃないとできないどんでん返し。

最終的なオチは、もちろんハッピーエンドになることはほぼ確定だったのですが、その前に大きな大きな仕掛けがありました。

また、本作が興味深いのは、1話あたりの時間が話数によって異なるという点。

表示されている時間を見ると、一番長いのが4話で1時間4分。一番短いのが7話で38分です。

これもどんでん返しまで、あまり考えさせる時間を作らないための手法だと思います。

なにせ一番短い7話では2回転生しているのもあって、観ている側としては一気に畳み込まれた感じになるわけです。

これ普通のドラマだったら実現できなかったんじゃないかなと。

日本のドラマだと最初と最後だけスペシャルで長くすることはありますが、だいたい30分か1時間で毎回決まっています。これは他の国も一緒かなと。

なので、ぶっちゃけて言うとドラマの時間に合わせて話が進んだり、間延びしたりすることが結構多いんですよね。

でも、Amazonオリジナルの作品ならそれを気にしなくても良いというわけです。

他にも設定の面白さや、それまでの伏線回収の手法など素晴らしい点がたくさんあります。たぶん、探せばもっと出てくるだろうなと。

個人的には傑作だと思いました。

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